スポーツ

 スポーツを「する」だけでなく、プレーを「観(み)る」ことを楽しみ、有力選手を「育てる」ことにつなげ、県民みんなで「支える」仕組みをつくる。佐賀県のSAGAスポーツピラミッド(SSP)構想は、スポーツを文化として定着させ、佐賀から世界に羽ばたくトップアスリートを育てる佐賀県独自の取り組みだ。「SAGA2024(ニーマルニーヨン)国スポ・全障スポ」まであと4年。構想の実現に向けて、歩みは着実に進んでいる。

SAGA2024

「双子の大会」成功へ連携

 新型コロナウイルス感染症の影響で、2023年に佐賀県で開催予定だった国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が、1年延期されることになった。県は23年の鹿児島大会と24年の佐賀大会を“双子の大会”と位置づけ、両大会での県勢の活躍を目指して強化を続ける。さらに交流やイベントなどを通じて、両県民の心の距離も近づけていく。

国民スポーツ大会佐賀開催の1年延期受け入れに関して、意見交換した山口祥義知事と強化指定選手の中学3年生たち=県庁

 新型コロナで鹿児島大会の20年開催が困難になったため、同県の塩田康一知事からの要請を受け、山口祥義知事は8月に延期受け入れを表明した。山口知事は会見で「選手や指導者を思うと、極めて重い苦渋の決断」と述べ、23年を目指し努力してきた「ターゲットエージ」(中学3年生)の強化も継続していく方針を示した。

 表明後、山口知事は競技に打ち込む中学生アスリートたちを訪問。23年に開催できなくなった理由を直接説明し、「鹿児島国体に出るという強い思いに変え、前に向かってほしい。そのための協力は惜しまない」と応援を約束した。新たな支援制度も創設し、若きアスリートたちをバックアップしていく。

 また、双子の大会を成功させるため、県庁では部署を横断する形でチーム「エール2023(ニーマルニーサン)」を立ち上げた。大会に参加する選手だけでなく、両県間で幅広く交流を進め、関係を深化させていく狙いだ。担当者は「鹿児島大会を訪れた佐賀県選手団が、地元の選手のように温かく迎えてもらえるよう、今からつながりをつくっていきたい」と話す。

 2年続けて九州で国体・国スポが開催されるのは史上初。幕末維新の激動期、連携しながら未来志向で時代を切り拓(ひら)いてきた佐賀と鹿児島が、今度は新型コロナを乗り越え、双子の大会の成功を目指して手を携える。

アスリート育成

競技に打ち込む環境整備

 佐賀から世界へ-。佐賀県は大きな夢を持つ佐賀ゆかりのアスリートたちの支援に取り組んでいる。練習場や就職先の確保、活動費の助成、指導者の育成など、スポーツに打ち込める環境を整備。才能ある子どもたちも発掘し、未来のオリンピアンを育てようとしている。

 ことし10月、テニスの四大大会の一つ全仏オープン車いすの部で、佐賀県を拠点に活動する大谷桃子選手(25)=かんぽ生命=が準優勝に輝いた。世界が注目するアスリートとして、東京パラリンピック出場とメダル獲得が期待されている。その大谷選手も県が支援する「SSPトップアスリート」の一人だ。

 

 将来の活躍が期待されるアスリートを、成績・年代などに応じて「トップ」「ライジング」「ホープ」として認定している。トップには大谷選手をはじめ、東京五輪に内定しているテコンドーの濱田真由選手、セーリングの岡田奎樹選手など、国内屈指のアスリート10人が名を連ねている。

 また、「SSPアスリートジョブサポ」では、スポーツ選手や指導者と県内企業のマッチングを行っている。仕事と両立させて、長く競技を続けられるようにする取り組みだ。これまで、ライフル射撃の井浦一希選手(今村病院=鳥栖市)、フェンシング・エペの古田育男選手(中野建設=佐賀市)らがこの制度を利用して就職し、働きながら、国スポや全国大会での活躍に向け練習に励んでいる。

「サガスカウト」でラグビーに挑戦する子どもたち=9月、佐賀市

 さらに本年度からは、ジュニア世代のアスリート発掘につなげる「サガスカウト」事業を実施している。八つの簡単なスポーツテストを受け、その結果からAI(人工知能)が判断した競技適正をもとに、希望者には競技団体を紹介する。これまで実施した2会場では、子どもたちと新たなスポーツとの出合いが数多く生まれている。次世代のアスリート発掘から選手育成につながっていくことを目指すSSP構想は、少しずつ実を結び始めている。

 

トピックス
SSP杯、高校生8000人参加

 新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった県高校総体と全国高校野球選手権佐賀大会の代替大会として、佐賀県は「SAGA2020(ニーマルニーマル) SSP杯(カップ) 佐賀県高等学校スポーツ大会」を開催した。

 県と県教育委員会、県高校体育連盟、県高校野球連盟の4者が「集大成の場を奪われた高校生のために」と共同で開催。代替大会を野球を含めて県全体で行うのは全国初で、31競技33種目に約8千人の高校生が参加し、6月中旬から約2カ月間熱戦を繰り広げた。

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