いちばん今年はやった言葉は「NNT」だという。あれ、新語流行語大賞の候補にこんなのあったかな。それもそのはず、来春卒業予定の大学生や大学院生の間で使われた「就活用語」である。「NNT」の意味は「無い内定」◆ほんの1年前まで早々ともらえた「内々定」が今年はない。新型コロナの影響で大学生の内定率(10月1日時点)は70%を割り込み、2009年のリーマン・ショック後に次ぐ下落幅という。採用試験のキャンセルで「コロキャン」なる言葉も生まれ、大事なウェブ面接で通信が乱れて動揺させられるのを「回線圧迫面接」と皮肉られる◆働くことの意味を、いまほど考えさせられるときもない。「テレワーク」「オンライン〇〇」といった言葉が耳になじむほど、通勤や会議が本当に必要なのか、会社とは一体何なのか、悩ましい問題に突き当たる◆いのちや暮らしを支える「エッセンシャルワーカー」という言葉にも、コロナ禍は光を当てた。医療や介護、生産や物流、販売に従事する人たち。在宅勤務もできず、身体的にも精神的にも大変な仕事だというのに、概して低賃金で人手不足にあえいでいる。そのことに社会は目をそらしてきた◆世の中に、なくていい仕事などない。私たちはついそれを、いっときの流行語のように忘れてしまう。きょうは勤労感謝の日。(桑)

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