SF作家の眉村卓(まゆむら・たく)さん(1934~2019年)は、がんにかかった妻が余命1年の宣告を受けた97年、自分にできることを考えた。思いついたのが、毎日、短い話を書いて妻に読んでもらうこと◆「毎日を明るい気持ちで過ごし、よく笑うようにすれば体の免疫力が増す」と聞いたことがあった。以来、5年にわたって一日一話を書き続けた。妻が亡くなった日の最終1778話は「また一緒に暮らしましょう」の一文で締められる。深い愛情に感心する◆きょう11月22日は語呂合わせで「いい夫婦の日」。結婚だけが幸せの形ではないが、先月、結婚を報告したお笑いタレントの岡村隆史(たかし)さん(50)が「支えられ婚」と言っていたように、「一人よりも二人」の方が困難を乗り越えられる気がする◆「比翼(ひよく)の鳥、連理の枝」という言葉がある。比翼の鳥は一つの翼と一つの目しか持たないため、雄鳥と雌鳥が隣り合って飛ぶ伝説の鳥。連理の枝は別々に埋葬された夫婦の墓から1本ずつ木が生え、互いの枝と葉が絡み合うように育ったという伝説の木。いずれも仲むつまじい夫婦のたとえに使われる。互いを支え合えって生きれば、奇跡は起こるという話でもあろう◆きょうは二十四節気の一つ「小雪」でもある。寒い季節に向かうが、夫婦仲は冷え込まぬよう、感謝を忘れないようにしたい。(義)

下記のボタンを押すと、AIが読み上げる有明抄を聞くことができます。

このエントリーをはてなブックマークに追加