飲食グルメ好きの現代人は、「かむ」ことの大切さを忘れています。食物の「かみごたえ」は、健康を維持するためのシグナルとして歯や顎を丈夫にするだけでなく、全身の組織や粗胞の働きを活性化している科学的根拠が次々と明らかにされております。

 日本人の祖先とも考えられる縄文人の頭蓋骨と現代人とを比較すると、まず約六千年前の縄文人の歯は、咬合面がヤスリで削り取られたように擦り減っていますが、歯を支えている顎の骨(外側の骨)の厚さや骨深(骨内部を支えている支柱)が非常にたくましく発達しています。それに比べて、現代人は全くたよりないひ弱な骨になっています。また、おやしらずの歯も現代人とは違ってしっかりかめ、しかも、どこにも虫歯や歯周炎の症候など全く認められないのは驚くべきことです。いかに現代人の歯の弱さが食物をかむことに関係しているかを語りかけているようです。

 次に宇宙(OG)に10日間滞在した日本アマガエルの脊椎を見ると、地上(1G)の重力を受けている状態では、骨梁が見瞭に見えます。しかし、無重力下では、骨内部がかなり吸収されています。

 ヒトも同様の変化となりますが、骨に加えられる機械的な力(メカニカルストレス)が骨の代謝(サイトロジー)に大切なことを宇宙科学が教えています。

 人類は地球上だけでなく、宇宙や地底、海底に生存圏を拡大することを計画しています。これらの環境でも健康に生きるためには、栄だけでなく、力(メカノサイトロジー)も必要なのです。寝たきりの状態では、全身の健康を維持することは困難であり、日常の適当な運動が必須条件です。歯の健康のためにはよくかむことが必要なのです。

 超高齢化社会における日本人は、生涯丈夫で美しい歯(8020)をもって、豊かなQOLを享受しつつ、価値のある人生を過ごしましょう。(北村歯科医院 服部信一)【参考文献】GC友の会No・5

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