陸自オスプレイの運用イメージ

 オスプレイを巡る経過

 陸上自衛隊が千葉県の木更津駐屯地に暫定配備している輸送機V22オスプレイ2機が6日以降に飛行を始める。防衛省は中国の海洋進出を念頭に、17機まで増やし沖縄県・尖閣諸島など南西諸島防衛に活用する考え。10月には米軍艦艇と連携する運用構想も明らかになったが、最終的な配備先と見込む佐賀空港では地元の同意が得られていない。省内では「別の拠点を探すべきだ」との声も漏れる。オスプレイの安全性への懸念も根強く、先行きは視界不良だ。

 「自衛隊のオスプレイが米軍の艦艇に着艦することも考えられる」。10月26日、防衛省の制服組トップ山崎幸二(やまざきこうじ)統合幕僚長は、日米共同演習の視察のため訪れた海上自衛隊護衛艦で明言した。

 米軍横田基地のCV22オスプレイに在日米軍のシュナイダー司令官と同乗し着艦。記者会見した甲板には、2人を運んだ機体が置かれた。陸自オスプレイは、初飛行前の点検中という異例の段階での言及。防衛省幹部は「きちんと舞台を演出し踏み込んだ。中国を強く意識したことは間違いない」と本音を口にする。

 陸自オスプレイは、長崎県佐世保市の相浦あいのうら駐屯地が拠点の離島防衛専門部隊「水陸機動団」の輸送が最大任務。これまでの主力機、CH47大型輸送ヘリコプターと比べ最大速度が約1・7倍の時速約465キロ、航続距離は約3・2倍の約2600キロとなる。防衛省は、佐賀市の佐賀空港のオスプレイと約60キロの距離にある相浦の部隊を一体で運用し、佐賀から尖閣まで約千キロを無給油で移動させる将来像を描く。

 防衛省は2014年に佐賀県に配備を要請したが、県は、空港の自衛隊使用を認めない協定を地元漁協と結んでおり、漁協との調整は難航。浮上したのが、陸自ヘリ部隊の主要拠点で、オスプレイが運用可能な滑走路や、17機分のスペースも確保できる木更津への暫定配備だった。

 自衛隊幹部は「佐賀に近い場所から全て検討したが、木更津まで遠ざからないと適当な施設がなかった」。佐賀移駐を前提に、期間は5年として地元と合意した。

 佐賀では10月、特産のノリ養殖の繁忙期を理由に、漁協が防衛省説明会を来春まで受け入れないとの考えを示した。省内では「佐賀は望みが薄い」と悲観論も拡大。米軍空母艦載機訓練の候補地になっている鹿児島県の無人島・馬毛島まげしまなど代替案まで挙がるが、ある陸自のヘリパイロットは「離島は潮風が強く、機体がさびる」と難点を指摘する。陸自幹部は「部隊運用としては非効率だが、他に場所がなく、木更津配備がずるずる長引いてしまうのではないか」と話す。(共同)

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