唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」は、新型コロナウイルス感染防止のため、2~4日の曳山(ひきやま)巡行が取りやめになった。1819(文政2)年に刀町の1番曳山(やま)「赤獅子」が誕生して以降、巡行中止は初めて。神事のみ執り行われ、勇壮な曳山14台が町を駆けることのない“寂しい秋”となった。各町を束ねる取締らに、今の心情や来年へかける思いなどを聞いた。(辻村圭介、成富禎倫、中村健人、横田千晶)


■1番曳山 赤獅子(刀町)文政2(1819)年製作

くんちは日常の延長だった

 

 正取締・池田聡さん(45) 争い事もなく、平和で健康なことの証がくんち。唐津神社に向けて「元気かよ」という気持ちを「エンヤ」に乗せている。中止になって、非日常的なものだけど日常の延長だったんだなと感じた。来年は2年分の鬱憤(うっぷん)、思いをぶつけて大騒ぎしてもらいたい。

 

 

■2番曳山 青獅子(中町)文政7(1824)年製作

来年こそ青獅子らしく走る

 

 正取締・池田圭作さん(49) 春先から曳山行事が次々と中止となり「こんなにやることがないのか」と思った。仲間と会う機会も減り、昨年のくんち以来約1年ぶりに会った人もいた。来年は町の人たちもたまっているものを出したいはず。今年の分までしっかりと準備し、青獅子らしく走りたい。

 

 

■3番曳山 亀と浦島太郎(材木町)天保12(1841)年製作

巡行なく“核”が抜けた感じ

 

 正取締・落合裕二さん(61) くんちのメインである巡行がないことは“核”が抜けた感じ。先日、曳山掃除をしたが、曳山を“卒業”する中学3年の女子生徒たちの記念撮影をした。くんち当日は町の公園で囃子を披露し、町内に紅白まんじゅうを配る。少しでもくんちの雰囲気を味わってもらえれば。

 

 

■4番曳山 源義経の兜(呉服町)天保15(1844)年製作

来年への期待背に準備する

 

 正取締・辻康史さん(53) 200年やってきた唐津くんちの曳山巡行が初めて中止となったが、これからの唐津を思うと仕方がない。令和3年のくんちは既に始まっている。曳山の掃除も来年のことを考えながらやっている。期待を背に、みんなで盛り上げるために準備していきたい。

 

 

■5番曳山 鯛(魚屋町)弘化2(1845)年製作

高揚感なく街の景色も違う

 

 正取締・藤田晃史さん(45) 今春から正取締を務めているが、各種行事が中止となり、就任した実感が湧かない。今年は本番前のわくわくする高揚感がなく、街の景色も違う。囃子の練習だけは、子どもたちの希望もあって先月から週2回行った。今年曳けなかった気持ちを来年にぶつけたい。

 

 

■6番曳山 鳳凰丸(大石町)弘化3(1846)年製作

子どもたちの姿に頼もしさ

 

 正取締・荒川哲次さん(59) 10月に入って週2回、子どもたちが囃子の練習をした。来年以降を考えて熱心に取り組んでおり、見ていて頼もしく思う。曳山巡行がないのは悔しいが、今年曳けなかった分、倍の気合とエネルギーをためて、来年のくんちを盛り上げていきたい。

 

 

■7番曳山 飛龍(新町)弘化3(1846)年製作

くんちの大きさ再認識した

 

 正取締・池田和久さん(54) 11月になり、改めて寂しく感じている。囃子の練習が聞こえず町内からも寂しいとの声を聞く。今年は自分たちにとって、くんちがいかに大きい存在であるかを再認識する良い機会になった。一日も早いコロナの終息を祈念し、来年は例年以上に楽しく盛り上げたい。

 

 

■8番曳山 金獅子(本町)弘化4(1847)年製作

検討重ねた中止裁定に敬意

 

 正取締・川崎秀紀さん(49) ぎりぎりまで検討された上での中止の裁定に敬意を表したい。10月の初くんちで本町は代表で囃子を奉納できた。制約はありながらも少し楽しめた。来年もこの状況が続くかもしれないということを考えておかないといけないが、とにかく好転することを願う。

 

 

■9番曳山 武田信玄の兜(木綿町)元治元(1864)年製作

今年の分まで次代へつなぐ

 

 正取締・濱田雄二さん(55) 子どもたちは楽しみにしていた分、寂しい思いをしていると思う。くんちは町内の和が深まる場。みんなが親になって伝統を教えつつ、楽しさも感じてもらう。昔からの恒例が途絶えたのは残念だが、今年の分まで次の世代につないでいく思いでいる。

 

 

■10番曳山 上杉謙信の兜(平野町)明治2(1869)年製作

一日も早い平和な日常願う

 

 正取締・瀬戸祥晴さん(47) 東京五輪の延期が決まった時、くんちも正直難しいと思った。小さい頃から囃子の音を聞いて育ち、少しの希望は持っていたので、中止は非常に残念。一日も早い平和な日常が戻ることを願い、来年は町のみんなで元気よく笑顔で謙信の曳山を曳きたい。 

 

 

■11番曳山 酒呑童子と源頼光の兜(米屋町)明治2(1869)年製作

囃子の練習なく違和感ある

 

 正取締・立華尊志さん(49) 毎年10月には、自宅の隣で囃子の練習が始まり、テレビの音が聞こえないほどだが、それがなく違和感がある。初めてのことで、2~4日をどう迎えるか想像もつかない。来年はくんちはもちろん、気持ちが高ぶる意味でも、くんち前の行事一つ一つができることを願う。

 

 

■12番曳山 珠取獅子(京町)明治8(1875)年製作

まず町に活気戻ってほしい

 

 正取締・山田信二さん(50) 遠方からの観光客に「来ないで」とも言えないので、やってほしいという願いはあったが仕方がない。中止が決まった時は実感がなかったが、日に日にさみしさを感じる。京町は商売の町。まずは町に活気が戻ってきてほしい。そして、また今まで通り、くんちができたらいい。

 

 

■13番曳山 鯱(水主町)明治9(1876)年製作

修復した姿を披露できれば

 

 正取締・吉冨大悟さん(52) 昨年からの保存修復が無事終わったが、お披露目などの行事が全部流れた。修復の寄付への返礼準備に追われているも、采配づくりや囃子の練習もなく寂しい秋だ。まだ、修復した姿を見ていない町内の皆さんのために、早く披露曳きができればと願っている。

 

 

■14番曳山 七宝丸(江川町)明治9(1876)年製作

今までの火消さぬよう活動

 

 取締・寺田和敬さん(46) 今年は寂しいの一言。ただコロナで今までの火が消えてしまわぬよう、囃子の練習などはコロナ対策をした上で、次に引き継いでいく気持ちで行っている。来年は新調した法被と肉襦袢(じゅばん)をお披露目できるので、楽しみにしてもらいたい。

このエントリーをはてなブックマークに追加