静岡銀行と山梨中央銀行の包括的な業務提携は、合従連衡の実利の早期獲得を狙ったのが特徴だ。政府が推進する地方銀行の合併や経営統合は企業文化の融合が難しく、再編効果の発揮に時間を要するため、スピード感を重視した。

 両行の提携は互いの独立性を堅持しながらも、銀行経営の根幹であるシステムや店舗の共同化を打ち出した。昨年に業務提携した横浜銀行と千葉銀行が顧客紹介などの連携にとどまるのと比べると、思い切った施策だ。

 政府は11月、地銀の合併などに独占禁止法を適用しない特例法を施行する。青森県の青森銀行とみちのく銀行が水面下で統合協議に入っており、業界の再編機運が高まってきた。

 過去の地銀再編では持ち株会社をつくって傘下に複数の銀行をぶら下げるケースが多かった。長年のライバル関係だった地銀の合併は相当の労力を費やすことが背景にあるが、各地銀がそのまま残るため統合効果を疑問視する見方がある。

 超低金利の長期化に伴う収益力低下やコロナ禍で加速した地域経済の疲弊など、地銀の経営環境は厳しくなるばかりだ。課題克服に向け、業務面での本格的な提携も有力な選択肢となりそうだ。

 ■静岡銀行 静岡市に本店を置く県内最大の地方銀行。1877年設立の静岡第三十五国立銀行を源流とし、1943年に合併で現在の行名となった。連結総資産は13兆2266億円で、全国の地銀でも有数の規模を誇る。東京、神奈川、愛知、大阪を含め約200店舗を展開し、米ニューヨークなど海外にも5拠点を置く。連結の従業員数は約3900人。

 ■山梨中央銀行 1941年設立で、甲府市に本店を置く県内唯一の地方銀行。前身は1877年に創業した第十国立銀行。連結総資産は3兆7573億円。東京、神奈川を含め国内92店舗を持ち、東京での業務拡大も進める。インターネットを介した顧客相談やスマートフォン向けアプリなどデジタル化にも力を入れる。連結従業員数は約1700人。

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