事件の概要や自身が感じたことなどを学生に伝えた山口由美子さん=佐賀市本庄町の佐賀大学

山口由美子さん(手前)の講演に耳を傾ける佐賀大の学生ら=佐賀市本庄町の同大

 2000年に当時17歳の少年が起こした西鉄高速バス乗っ取り事件で重傷を負った山口由美子さん(70)=佐賀市=が27日、佐賀市本庄町の佐賀大で出前講座を行った。オンラインなどで経済学部経済法学科の1年生約70人が聴講し、山口さんは「(被害者には)その時、その人に必要な言葉を掛けることが大事」と訴えた。

 事件は2000年5月3日に発生。山口さんの知人が死亡し、山口さんも刃物で顔などを切られる大けがを負った。バスの中で起きたことを細かに話し「少年の心はこんなに追い詰められていたんだと感じていた」「知人を亡くし、自分が生きているのがつらくなった」などと当時を振り返った。

 事件後、友人がカウンセリングへの送迎などを手伝ってくれたことに触れ「いろんな人のつながりがあってよかったと感じた」と山口さん。犯罪被害者を支援していく上で「被害者は正直置き去りになっている。具体的な解決策を示すのではなく、『何でも話していいよ』と前向きな言葉を掛けてほしい」と述べた。

 学生からは「事件のトラウマは残っているのか」「加害者にならないために今すべきことは」などの質問が出され、山口さんは「事件後3、4年はバスに乗ることはできなかった」「孤立させないような仲間づくりが必要」と答えた。

 河野秀明さん(19)は「誰かが傷ついた時に、心のケアを落ち着いてしてあげたい」と話した。丸山美陽みはるさん(19)は「周囲も声を掛けることが必要。きれい事ではなく、ちゃんと思っていることを話したい」と強調した。

 出前講座は、犯罪被害者支援への理解を深めてもらおうと県が主催した。(小部亮介)

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