会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合った佐賀県内の女子高校生を誘拐し、わいせつ行為をした容疑で、福岡県の男が逮捕、起訴された。県警によるとSNSが発端で高校生らが事件に巻き込まれるケースでは、人間関係の悩みなどの書き込みが狙われているという。ケアに当たる弁護士は、児童生徒らへの啓発活動の必要性を指摘した上で「SNSの相手が、本当にあなたが考えているような人なのか想像して」と呼び掛ける。

 「駅に来てくれたら迎えに行くよ」。9月24日夜、県内の女子高校生を誘拐した福岡県の男は、SNSなどでメッセージを送って連れ去った。女子生徒は「家に帰りたくない」という趣旨の書き込みをしていた。2人に面識はなかった。

 捜査関係者によると、男は福岡県内の自宅に連れ込み、体を触るなどしたという。誘拐の翌日、女子生徒は逃げ出し、男は29日に逮捕。未成年者誘拐と福岡県青少年健全育成条例違反の罪で10月、起訴された。今回は無事に保護されたが、2017年の神奈川県座間市の9人殺害事件などではSNSを通じて被害が起きている。県警は「殺人など重大犯罪に発展する要素を含んでいた」と懸念する。

 県警によると、SNSがきっかけで連れ去りなどに巻き込まれたケースは19年、6人を摘発し、18歳未満の被害者は4人だった。過去5年間で最も被害者が多かったのは18年の10人で、このうち2人は県外の男に連れ去られている。

 県警は、学校に登校できなかったことや家族間の悩みなどを同世代に聞いてほしいという思いで、SNSに書き込んでいるとみている。「親には心配を掛けたくないから、なかなか相談できない」「悩みを聞いてもらいたいが、知っている人には言いづらい」。SNSに悩みを書き込む児童生徒の思いをそう推し量る。

 県は、県内の子どもたちが投稿したと思われる書き込みをネットパトロールしており、県警や児童相談所といった関係機関と連携して被害の未然防止に努めている。それでも「学校や個人が特定できないケースもある」と苦心する。

 県内の学校でSNSに関する講習会の講師を務めている半田望弁護士は「未成年者は、まだ世界が狭く、想像が及ばないのかもしれない」と指摘する。悩みを抱えた人が、見知らぬ人とやり取りをしていくうちに、無防備のまま「信用」につながっているといい「やり取りの相手を慎重に見極める必要がある。学校や家庭、社会全体で教えていくしかない」と強調した。(小部亮介)

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