九州新幹線長崎ルート新鳥栖-武雄温泉で想定される五つの整備方式の比較を示し、フル規格を推す主張を明確にした国土交通省。23日の佐賀県との「幅広い協議」で、手持ちのネタを全て出し尽くしたが、あらゆる可能性を幅広く議論するという佐賀の対応に一切変化は見られなかった。

 「改めて時間軸がだいぶ違うと認識した」。記者団にそう語った国交省幹線鉄道課の足立基成課長の言葉に、この日の協議の実態が表れていた。「いつまでも議論するのが国の時間軸ではない」。こう切り出し、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)とスーパー特急について「現実的な選択肢ではない」と断言した。「5択の中から一つ選ぶ時、難しいものは難しいと国の意見を言いに来た」

 一方、佐賀県の南里隆地域交流部長は「5択と言いながら、FGTは開発断念となれば協議自体が成り立たない」とけん制、「さまざまな可能性について幅広く協議を」と繰り返し、「次回以降も幅広く協議していく」とした。記者団にはこう感想を述べた。「『フルがいい』とは言われたが、特に新しい情報や提案があったとは思っていない」

 国交省関係者は「佐賀の姿勢が全く変わらないことだけが分かった」と諦観を漂わせ、「佐賀県側から知りたい数字や条件を提示してもらえれば、どんどん出したいが、そういう展開にはならないだろう」。今後開かれる予定の与党検討委員会は「新しいテーマのない、報告ベースの会合になるのでは」と話した。

 次につながる展開が見えなかったこの日の「幅広い協議」。佐賀県関係者は「国交省としては5方式それぞれの価値評価をし、やれる分はやったという『中締め』の意味合いがあったのではないか」との見立てを示した。(栗林賢)

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