私たちの祖先が多細胞生物になってから10億年、人間になってから500万年の間、体の仕組みが複雑になるとともに身を守る免疫の仕組みも複雑になってきました。

 私たちの体を外敵から守る仕組みは幾重にも働きます。皮膚や粘膜で守られ、外敵に侵入されたら自然免疫が働きます。自然免疫は非特異的に常に働いています。自然免疫が対応しきれなくなると、自然免疫から受け取った情報をもとに、特異的に働く適応免疫が準備を始めます。この時、体は熱を上げて免疫システムを活性化します。適応免疫は強力で、さらに、自然免疫も特異的に強力になる仕組みを持っています。

 免疫を担っている細胞は白血球です。内臓や血管などの働きを調整し体内の環境を整えているのは自律神経系です。

ストレスなどで自律神経系の働きが乱れると、免疫の働きにも影響がでます。自律神経を整えるためには、日々の生活習慣(運動、食事、睡眠)が大切です。

太古の昔、森林消滅の危機から森を離れ草原に出た私たちの祖先は、食料を求めて歩く生活を始めました。人類への進化は、歩くことから始まったとも言われています。

 子孫である私たちもよく歩くことを心掛けましょう。階段や坂道のウォーキングで負荷をかければ筋肉量も増え体温が上がり、血行も良くなります。

 私たちの先祖は、日本の風土の中で生活してきました。子孫である私たちもこの風土の伝統的な食事で腸内環境を整え、消化の負担にならない食事を取りましょう。

 日常的に睡眠が不足すると自律神経系が乱れ免疫が低下します。一日の始まりに目覚めの良い十分な睡眠を取りましょう。

 口腔環境を整えましょう。口腔内の常在菌や粘膜が外敵の侵入から守ってくれます。

 私たちの身を守る仕組みが、これまで人類にとって未知のウイルスが現れても負けることなく対応してきたから、私たちは今生きています。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター・副センター長・統括産業医 佐藤 武)

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