米司法省は、独占禁止法(反トラスト法)違反で米グーグルを連邦地裁に提訴した。グーグルのサービスを初期設定にする契約によりインターネット検索を独占し、競合他社を排除したと指摘した。圧倒的なシェアを背景に市場の公正競争を阻害していたならば、その是正を求めるのは当然である。結果として消費者の利益につながることを期待したい。

 同社をはじめ米アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる巨大IT企業を対象とした独禁法の一斉調査で、提訴に踏み切るのは初めてだ。

 世界的に急速に進んだ社会のネット化で、GAFAは強大な影響力を持つに至った。グーグルの米国での検索シェアはモバイル端末で94%、パソコンで82%と競合他社を圧倒しており、「独占」の批判を呼び込んでも仕方ない状況だった。

 ネット界を代表するグーグルを規制当局が提訴したことで、IT企業がビジネスモデルの変容を迫られる可能性が出てきたと言える。影響は日本へも及ぶだけに、訴訟の行方から目を離さないようにしたい。

 訴状などによるとグーグルは、巨額の費用を支払って同社の検索サービスが初期設定となるような契約をアップルはじめスマートフォンメーカーや通信会社と締結。それによって検索サービスやネット広告の市場で違法な独占状態を維持し、競争を阻害したとされる。

 提訴に当たって司法省のローゼン副長官は「グーグルは競争に有害な排他的慣行を通じて独占的地位を維持してきた」と理由を説明。これに対してグーグルは「利用者は強制されたからではなく、自ら選んでグーグルを使用しており、司法省の提訴には重大な欠陥がある」と反論した。

 パソコンやスマホのネット検索が、最初からグーグルに設定されていた経験を持つ人は多いだろう。提訴はその点を問題視した格好である。訴訟を通じてグーグル以外の有力ソフトなどとの健全な競争が生まれ、消費者の選択肢が広がるのが望ましい。

 巨大IT企業を対象にした独禁法訴訟は1998年の米マイクロソフト(MS)以来、約20年ぶりとなる。同訴訟はいったんMSの分割を命じたが、その後和解。同社は解体を免れる経緯をたどった。

 グーグル訴訟も長期化が見込まれるが、今後の展開を大きく左右するのは11月の米大統領・連邦議会選の結果である。野党民主党が事業分割をはじめ巨大IT企業への規制強化を求める姿勢なのに対して、与党共和党は企業活動への介入に慎重な立場だからだ。

 グーグルを巡っては欧州連合(EU)欧州委員会が2017年以降、3件のEU競争法(日本の独占禁止法に相当)違反を認め巨額制裁金を命令。グーグルは裁判で争っており、米欧の訴訟が互いに影響しあう事態もあり得るだろう。

 日本では、巨大IT企業の影響力増大を受けて、取引の透明化や契約情報の開示を求める新法が5月に成立した。ネット広告の透明性や公正な取引を目指したルール作りも議論されている。

 今回のグーグル訴訟は、これら新法の運用や議論への影響が避けられないだろう。規制当局やネット事業者だけでなく、利用者の立場からも関心を持つようにしたい。(共同通信・高橋潤)

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