九州新幹線長崎ルート新鳥栖―武雄温泉間の整備方式見直しで、国土交通省がフル規格やスーパー特急など5方式の所要時間や建設費などの試算をまとめたことが22日、関係者への取材で分かった。各方式の課題も列挙した上で、フル規格に関して「整備効果が最も発揮される」と評価している。国交省は佐賀県との23日の「幅広い協議」でこの比較を示し、フル規格を推す姿勢を鮮明にする。

 新幹線と在来線特急を乗り継ぐ対面乗り換え(リレー)、スーパー特急、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)、ミニ新幹線、フル規格の5方式で所要時間や課題を比較した。スーパー特急の場合、新幹線のレール幅のフル規格で建設中の武雄温泉―長崎間を、在来線の狭い線路幅に改修する工事費として約1400億円を見込む。

 所要時間は武雄市の武雄温泉駅で乗り継ぐリレー方式をベースに比較した。長崎―博多間で見た場合、リレーの約1時間20分に対しスーパー特急は1分遅く、FGTは横ばい、フル規格は29分短縮の約51分とした。

 各方式の課題も指摘している。リレー方式は利用者の利便性低下▽スーパー特急は新車両の開発が必要▽FGTは車両開発を断念▽ミニ新幹線は時間短縮効果が限定的で、線路を新幹線幅に敷き直す工事の期間中、在来線の利便性低下▽フル規格は建設費が最大で、在来線の取り扱いは協議が必要―などとしている。

 フル規格に関しては「時間短縮効果や収支改善効果が大きく、整備効果が最も大きい」と利点も挙げている。フル規格、ミニ新幹線を除く3方式に関しては、投資効果や収支改善効果、地方負担見込みは試算していない。

 新鳥栖―武雄温泉の整備方式を巡って国交省は6月、県に五つの整備方式に対応した環境影響評価(アセスメント)を提案し、県は「アセスによって2023年度着工に間に合うのは佐賀駅を通るルートのフル規格だけで、フル規格の受け入れと同義」として拒否した。両者は事務レベルの「幅広い協議」で整備方式を議論している。

 長崎ルートは2022年秋ごろ、リレー方式で暫定開業する見通しになっている。(取材班)

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