佐賀県はこれまで首都圏と福岡県中心だった移住促進のターゲットに、新しく長崎県を加える。年末にも初めて長崎発着のバスツアーを実施する。もともと長崎は佐賀への移住者が福岡に次いで多い。2022年度に九州新幹線長崎ルートの武雄温泉-長崎間が開業すれば、県西部は通勤圏になる。県は暮らしやすさなどの魅力を長崎向けに発信し、移住者の開拓につなげる狙いだ。

 佐賀県によると、19年度に県や市町の移住支援を受けて移住した人は691人いた。移住前の居住地は福岡県が336人で半数近くを占め、次いで長崎が110人(15・9%)と多く、関東圏をわずかに上回る。総務省がまとめた19年の人口移動報告によると、佐賀は長崎に対して407人の転入超過となっている。県によると「坂道がなく住みやすい」「子育て支援策が充実している」などを移住の理由として挙げる人が多いという。

 22年秋の長崎ルート武雄温泉-長崎間の開業も追い風になる。現在、武雄温泉駅には博多発佐世保行き特急が1時間に上下1本ずつ止まるが、開業後はこれに長崎行き新幹線上下各2本が加わる見通し。長崎までの所要時間は推計約25分で、博多までの特急も3倍に増えるとみられ、利便性は格段に向上する。佐賀県は「長崎と福岡の両市が通勤圏となり、武雄の魅力が高まる」としている。

 佐賀県はこれまで東京や福岡に移住相談窓口を設置し、ツアーイベントなどを催してきた。前年度、長崎と隣接する嬉野市と西松浦郡有田町でオンラインのトークイベントを開いたが、長崎に照準を合わせた明確な打ち出しはしてこなかった。本年度、初めて長崎発着のバスツアーに予算340万円を計上した。

 一方、長崎市は19年の転出超過数が全国の市町村で2年連続最多となり、人口流出が深刻化している。

 長崎をターゲットとすることに関し、佐賀県移住支援室は「何もしなければ人は減っていく。県境の若い人にとっては単に暮らしやすい近場へ引っ越す感覚ではないか。隣県からもしっかり呼び込みたい」と話す。(栗林賢)

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