記録更新に向け、練習を重ねる岩永義次さん=8月、有田町の歴史と文化の森公園

 マスターズ陸上競技の長距離種目で数々のアジア・日本記録を打ち立ててきた佐賀県西松浦郡有田町の岩永義次さん(60)が、トラック種目の男子3000メートルM60(60~64歳)クラスで9分21秒38のタイムを出し、世界記録を上回った。「マスターズに挑戦し始めた45歳頃からの夢だったのでうれしい」と喜び、「調子もいいので、次は5000メートルで世界記録を」とさらなる意欲を見せる。

 26日に佐賀市のSAGAサンライズパーク陸上競技場で開かれた佐賀長距離記録会で記録。今年9月1日時点での世界記録はオランダの選手が2000年6月に出した9分29秒47で、8秒ほどタイムを縮めた。

 世界記録は、申請書類を日本マスターズ陸上競技連合を通じて世界マスターズ陸上競技協会に提出して審査される。認定されれば、20年ぶりの更新になる。

 岩永さんは「最初の1000メートルで2分58秒と久々に3分を切った。2000メートルを6分10秒程で通過したので、世界記録が出るのではと意識した」という。

 レース直後は世界記録の確認ができなかったが、アジア・日本記録を上回ったため、場内アナウンスで紹介。佐賀マスターズ陸上競技連盟の山田清美理事長から花束が贈られ、選手や観客から祝福された。

 岩永さんは8月の記録会でもアジア・日本記録を上回る9分48秒56で走ったが、ルール変更に伴う提出物の不備で認定されなかったため「今回記録を出したい」と練習を積んだという。

 岩永さんは実業団時代にマラソンなどの国際大会で活躍。現在も県内一周駅伝などで健脚を誇る。マスターズではこれまでに、トラックのM50(50~54歳)とM55(55~59歳)の3000、5000、1万メートルで五つの日本、アジア記録を更新。ロードレースもM55で10キロの日本記録を更新した。(古賀真理子)