打ち上げられる花火を自宅から堪能する親子=唐津市西城内

 浴衣姿の人々でにぎわい、唐津の夏を彩ってきた例年の光景とは一変した。九州花火大会は、新型コロナウイルスの感染拡大で開催が危ぶまれたが、打ち上げは10分だけ、3カ所に分散させた打ち上げ場所は公開しないなど配慮を重ねて21日夜、開かれた。自宅のベランダ、街中の店先、鏡山…。それぞれの場所から夜空を見上げる人たちを、火花が照らした。

 パーンと音が鳴り出すと、つられて走る若者たちの姿もあった。唐津市の西の浜近くに住む林原麻里子さん(50)は自宅のベランダで、息子と3つの連なる花火を見つめた。

 コロナ禍でリモート勤務となり、4月に中学3年の息子が住む唐津に東京から移住してきた。「東京だとビルばかりでこんな光景は見られない。唐津城のライトアップと合わせて本当に絶景ですね」。唐津の地で初めて目にする光景に興奮気味に話した。

 息子3人を連れた玄海町の会社員の女性(37)は4連休もほとんど遠出はできなかったが、夏の楽しみだった花火はせめて見ようと唐津市まで出てきた。「今年はどこでも見られなかったから10分だけでも本当にうれしい。屋台とか、花火大会のにぎわいとか当たり前だったものがないのは寂しいけれど、こんな形でも生で見るのは違いますね」と声を弾ませた。

 鏡山の展望台では3カ所から上がる花火を一望しようと、訪れた人たちがカメラやスマートフォンを構えた。武雄市橘町の山口哲子さん(75)は娘と敬老の日のお祝いで唐津市を訪れ、「すごくきれいだった。寒かったけど来てよかった」と満足した様子。新型コロナによる自粛期間はほとんど家で過ごしたと言い、「ものすごく心が和んで、元気をもらえた。いい敬老の日になった」と笑顔を見せた。(横田千晶、中村健人)

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