佐賀市の「ほほえみ館」に開設された福祉避難所(佐賀市提供)

 佐賀県内で2万人以上が避難した今月初めの台風10号に関し、高齢者や障害者らを対象にした「福祉避難所」が県内7市町で開設された。1人1人の障害の特性が違う中で、よりきめ細かい配慮が必要なケースも多い。当事者からは設備の充実や備品の確保だけでなく、避難所内の静かな環境といったさまざまな改善を求める声も上がった。

 佐賀新聞社の取材で、台風10号の接近に伴い福祉避難所を開設した自治体は、佐賀市、武雄市、三養基郡の基山町、みやき町、杵島郡の大町町、江北町、白石町。開設していない市町でも、配慮が必要な人に対して指定避難所内にスペースを設けた自治体もあった。

 福祉避難所は高齢者や障害者、妊産婦といった配慮が必要な人を受け入れる避難所で、市町が指定する。県内では7月末時点で、高齢者福祉施設や保健センターなど147施設あり、市町が必要と判断した場合に、施設の管理者に開設を要請する。

 このうち佐賀市は今回初めて、4カ所で福祉避難所を開設し、介助者を含む77世帯186人が避難した。

 避難者の中には、バッテリーの充電が必要な人工呼吸器を使用する人が4人いたという。医療機器の利用者には安定した電源の確保が課題になる。開設した福祉避難所のうち非常用電源がある施設は1カ所しかなく、全員を案内した。市の担当者は「停電で不測の事態が起きないように対応した」と当時を振り返った。

 障害のある人や家族は、福祉避難所の開設を「万が一に備えて安心した」と評価する一方、障害の特性はさまざまで、設備や運営面に関しては、さらなる改善を求める声も上がる。

 車いすを利用する船津正弘さん(64)=佐賀市=は今回、市に問い合わせて福祉避難所でのベッドの利用を希望したが「足りるかどうか分からない」という回答があり、避難を諦めたという。車いすで寝ることになる可能性があったためで「同じ体勢が長く続くと生じる『床ずれ』は大きな問題。死に至るケースもある」と配慮を求めた。

 全盲と知的障害がある息子がいる佐賀市の世戸亜希さん(46)は「いろんな音が聞こえるとストレスになる」と静かな環境を求める。また「手で触ることが目の代わり」と周囲に触れながら移動するため、「施設内が清潔であることも重要」と訴える。

 世戸さんは、そうした配慮の有無を懸念し、避難しなかったという。「高齢者と障害者では配慮する側面が異なる。障害のある子の中には、声を上げたり、夜寝られなかったりする特性もある。同じ福祉避難所でもスペースを分けるなどの配慮があれば」と述べた。(松田美紀、横田千晶)

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