街のごみ拾いを約20年、毎朝続けている高森保さん=伊万里市新天町

ごみ捨て禁止の看板があるにもかかわらず、ごみがたくさん捨てられている=伊万里市のJR伊万里駅付近

 伊万里市新天町の高森保さん(86)が、街なかの清掃奉仕を20年以上続けている。通行量が多い道路や駅周辺のごみを毎朝2時間かけて拾い、景観の美化に貢献してきた。「伊万里に住む人も訪れる人も、この街を好きになってほしい」との思いが息の長い活動につながっている。

 高森さんは毎日NHKの朝ドラを見てから家を出て、伊万里駅までの約700メートルを往復しながらごみを拾う。帽子と反射材のベストを身に付け、ごみばさみとビニール袋を持つお決まりのスタイルは、市民に広く知られている。

 ごみを拾うのは人と車の通りが多い道路の脇で、袋の中はいつも飲食物の容器やたばこの吸い殻でいっぱいになる。駅では駐輪場の自転車を並べ直し、時々歩道の花壇の草刈りや花の植え付けもしている。

 かつて小学校の教員を42年間務め「子どもに公共心や公徳心を教えるだけでなく、自らも実践しないといけない」と現役の時から休日にごみを拾っていた。65歳で退職してからは日課になった。

 ごみ拾い以外に子どもの見守りや観光案内のボランティアをする高森さんは、長距離走のランナーでもある。昨年は「ねんりんピック」の全国大会に出場。体を動かすだけでなく、詩作にも励み、文芸誌などに発表している。

 かくしゃくとして活動的な高森さんだが、10年前から耳が遠くなり、今年の春には腰の手術をした。家族は「事故に遭ったり、周りに迷惑を掛けたりせんやろうか」と心配するが「他に誰かやってくれるならいいけど、誰もやってくれないから自分がやるしかない」。手術の後、3カ月ぶりにごみ拾いを再開すると、ごみがたくさん落ちていた。

 「街がきれいだと気持ち良くなれるのに、足元にごみがあっても知らん顔の人が多い。みんなが少しでも景観のことを気に掛けてくれれば、伊万里はもっといい街になる」。そう思いながら、今日も街を歩いている。(青木宏文)

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