常連が集う定食屋、老舗のラーメン店-。地域に根ざしていながら、後継者不在のため廃業を考えている飲食店を、佐賀県は「後世に残したい店」として支援する事業を計画している。今秋以降に公募や推薦で選ばれた約50店舗の情報をウェブサイトやパンフレットで発信し、第三者への事業承継や魅力の再発見につなげる。

 県の飲食店への聞き取りでは、高齢になった経営者が後継ぎがいないために店を畳むケースが多い。さらに新型コロナウイルスの影響で経営が悪化し、追い打ちをかける恐れも出ている。県産業政策課は「これまで愛されてきたお店がなくなると、地域や商店街にとっては経済効果以上のマイナスがある」と懸念する。

 店舗経営者の事業承継への意欲を喚起し、後継者探しを後押ししようと、県は10月から支援事業に取り組む予定。後継者が不在で、地域住民からの推薦があることを条件に50店ほど選ぶ。ウェブサイトなどさまざまな媒体での情報発信を含めた事業費約2430万円を9月の一般会計補正予算案に盛り込んでいる。

 県事業引継ぎ支援センターによる第三者への事業承継は2018年度が22件、19年度は29件あった。産業政策課は「地域の活力を維持するためにも、今回の取り組みでマッチングのケースをさらに増やしたい」と話す。(円田浩二)

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