九州新幹線長崎ルートを巡り、質疑があった佐賀県議会一般質問=県議会棟

 9月は新幹線議会-。執行部、議会ともに、そう口をそろえる佐賀県議会9月定例会は14日の一般質問で論戦の口火が切られた。3日間で7議員が九州新幹線長崎ルートを取り上げる。こうした公開の質疑以上に熱を帯びているのが自民党会派内のフル規格推進派と慎重派のせめぎ合い、そこに執行部も加わった舞台裏の熾烈(しれつ)な応酬だ。ヤマ場は一般質問最終日の16日昼。推進派が狙う「決議」案の表明締め切りになる。

 9月2日、新幹線問題の特別委員会で国土交通省鉄道局の寺田吉道局次長が、複数の整備方式に対応する環境影響評価(アセスメント)の提案に関し、9月末までに佐賀が同意すれば、2023年度着工に向けた財源論議に間に合うとの考えを示した。いったんは7月末としていた回答期限までに佐賀は拒否したが、期限が延びたことで9月定例会が一気に熱を帯びた。

 2日後、自民党県連は代表役員会で、複数アセスに同意するよう山口祥義知事に再考を求める要望書の提出を決定した。

 要望を巡り、県連と執行部の対立が鮮明化する。一般質問後に対応するとした執行部に対し、県連は「5分でもいい」と一般質問前にこだわり、いったんは11日朝で合意した。しかし、執行部が留守茂幸県連会長に1人で来るように求め、留守氏はこれを固辞。調整は難航し、一般質問後の17日となった。

 県幹部は「要望を受けるだけなら構わないが、大勢で来られると必ず議論になる。まずは議会の質疑を通して議論すべき」と話す。一方、県連側は「知事が堂々と受ければいい話だ。要望に行く側の陣容にまで口出しされる筋合いはない」と不満を隠さない。

 要望を巡る攻防の背景にあるのが、自民会派のフル推進派が狙うアセス受け入れを求める決議だ。推進派県議が解説する。「決議の表明締め切りは一般質問最終日。『決議するぞ』という構えは要望のカードになる。執行部もそれを警戒し、締め切り後なら受けるとしたのでは」

 決議は、議会の意思表明だ。過去に九州電力玄海原発の再稼働や佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画の受け入れに関し、自民会派の提案で決議をした。山口知事は「県民の代表者である県議会の決議は極めて重い」とし、いずれも決議に沿った判断をした。

 執行部も気色ばむ。国策課題に関する過去の決議は県政の方針と対立するものではなかった。「知事が絶対に受け入れられない決議をすることは、いわば『リコール』に等しい。そうなれば真っ向対決だ」。別の県職員も疑問を呈す。「アセスへの同意は、佐賀駅を通るルートに限定してフル規格を受け入れるのと同義だ。これまで何も議論していないのに自民会派はそれでいいのか」

 県議会最大会派の自民も一枚岩ではない。「以前に比べてフル容認の意見が増えた。会派内で多数決を取ればフル推進が多いかもしれない」と県議の一人はいう。それでも決議を提案できるかどうかは微妙な情勢とみる。「フル推進派の中にも決議は過激すぎるという声や知事との対立を懸念する声も少なくない」

 新幹線問題は自民会派内にも大きな火種を生んでおり、「分裂含みの議論に発展するかもしれない」と語る県議もいる。

 一般質問のさなか、自民会派は休憩時間を割いて決議の可否や新幹線問題の対応を議論する。(栗林賢)

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