新型コロナウイルス感染拡大防止のため、青いテープを所々に貼り1世帯分のスペースを示した避難所=6日、佐賀市富士町の同市富士支所

 最大級の警戒が呼び掛けられた台風10号。コロナ禍での本格的な災害避難となった6、7日、佐賀県内の避難所には、これまで経験のない2万人を超える住民が身を寄せた。新型コロナウイルス対策で定員を減らしており、当日に避難所を追加してしのいだ自治体もあった。人手や資材不足など、運営のさまざまな課題が浮き彫りになった。

 県によると、全20市町の避難所301カ所に2万712人(7日午前5時時点)が避難した。昨年8月の佐賀豪雨の5倍に上り、各自治体によると実数はこれより多かった。佐賀市は予定した43カ所でも足りずに6カ所を追加、嬉野市も3カ所増やすなど、多くの自治体が対応に追われた。

 ▽3分の2を動員

 佐賀市によると、高齢者が3カ所を回ってやっと避難できたケースがあったという。2カ所目への移動中に満員になったが、状況を知らせる貼り紙が更新されていなかった。担当者は「受け付けの職員に尋ねてもらえればお知らせできたが…。ネットを見ることができない高齢者をどうケアするのかは難しい」。情報伝達が課題として上がる。

 避難所を運営する職員もぎりぎりだった。「かつてない避難者数で、全職員の3分の2程度を動員して準備した」と小城市。嬉野市や唐津市、西松浦郡有田町は「これ以上増えたり、長期化したりすれば、職員だけでは対応できなくなる」と悲鳴を上げる。

 唐津市は、新型コロナに備えた対策が奏功したとみる。分散避難を進めるため5月中旬、地域の区長や自治会長らに自主避難所の開設を要請していた。市が把握しているだけでも山間部を中心に24カ所が立ち上がり「さらに増やすために、自主防災組織の結成率を上げたい」と話した。

 ▽保健師足りず

 感染防止対策には各自治体とも、密集の回避や消毒などに取り組み、発熱の症状があれば一般の避難者と接触しないようマニュアルに盛り込む。

 小城市の2避難所では、受け付け時の検温でそれぞれ1人の発熱が分かり、体調不良者専用の個室に案内した。いずれも一般の避難者と通路を分け、トイレや洗面所も別にした。各施設に1人ずつ保健師を配置する計画だが、避難所を急きょ増やしたため「全ての施設に常駐させることはできなかった」と担当者。今回は市役所から新たに派遣して対応したが「災害発生時だと、施設まで行けない恐れがある。保健師の増員を含めて配置計画を見直す必要がある」と指摘する。

 佐賀市は「台風は強風なのでドアや窓を開けられない」と換気を課題に挙げた。避難者の多さから、武雄市は備蓄している段ボール製ベッド、三養基郡基山町は敷物や仕切りに使う段ボールが不足し、協定を結ぶ企業の協力や代用品で乗り切ったという。(取材班)

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