九州電力の豊嶋直幸取締役常務執行役員(左)へ回答書を手渡す小林万里子副知事=1日午後、県庁

 九州電力が玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)で計画している使用済み核燃料の貯蔵容量を増やす「リラッキング」に関し、佐賀県と玄海町は1日、事前了解した。九電は12月から現地工事を予定し、2024年度の完了を目指す。

 リラッキングは貯蔵プール内の使用済み核燃料の間隔を詰めて、容量を増やす工事。完了すれば、現状の1050体から1672体になる。

 県庁では、小林万里子副知事が九電の豊嶋直幸取締役常務執行役員に回答書を手渡した。小林副知事は、専門家でつくる県の専門部会の意見も踏まえて、国の審査結果に技術的な問題がないことなどを事前了解の理由に挙げた。その上で「使用済み核燃料が玄海原発に永久に保管されるのではないかという不安の声もあるので、積極的な情報公開と分かりやすい県民への説明をしてほしい」と要請した。

 貯蔵量の増加によりプールの水温が上昇して建屋内の作業環境に影響を及ぼす可能性も指摘し、環境変化の詳細な評価や改善策の検討を求めた。豊嶋氏は「(使用済み核燃料は)基本方針に沿って、できるだけ早く搬出したいと考えている」と述べた。

 玄海町の脇山伸太郎町長は「放射線の監視と管理の徹底や使用済み核燃料の対策を計画的に実行し、住民の安心安全を最優先に取り組んでほしい」と要望した。隣接する唐津市は「使用済み核燃料の問題は市民も注視している。慎重に扱ってほしい」と求めた。

 昨年、リラッキングに反対する要望書を唐津市に提出した玄海原発対策住民会議の成冨忠良会長(78)は「使用済み核燃料から出る『核のごみ』の最終処分場は、まだ場所も決まっていない。容量を増やすのはおかしい」と批判した。

 九電は19年1月、安全協定に基づいて県と玄海町に事前了解願を提出していた。原子力規制委員会は昨年11月に原子炉設置変更を許可し、今年3月には工事計画を認可した。一方、使用済み核燃料対策でリラッキングと併用する乾式貯蔵施設は、審査が続いている。(山本礼史、中村健人)

このエントリーをはてなブックマークに追加