防衛副大臣が22日、自衛隊に導入する新型輸送機オスプレイ17機の配備と合わせて、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の米海兵隊オスプレイも、佐賀空港を利用する可能性に言及した。沖縄の地元紙は、どう読み解いたのか-。

■県外移設従来説明と矛盾 辺野古実現へ思惑も

 政府が米軍普天間飛行場の所属機による佐賀空港の暫定的な使用可能性を示した背景には、仲井真弘多知事が求める「5年以内の運用停止」の実現に対する県民の期待を高めて、名護市辺野古への移設作業を加速させる狙いもありそうだ。ただ「暫定」としながらも普天間の“県外移設”方針を示唆したことは、これまで県内移設を正当化するために政府が繰り返してきた「米海兵隊の一体運用の必要性」「県外移設による抑止力の低下」といった説明を自ら否定した形ともなる。

 日米両政府は昨年4月に合意した米軍基地の返還・統合計画で普天間返還は2022年度以降と定めた。一方、仲井真知事は昨年末に辺野古埋め立てを承認した際、普天間の危険性除去は喫緊の課題として安倍晋三首相に「5年以内の運用停止」を求め、首相は「全力を尽くす」と応じた。

 今回、防衛省が佐賀空港の暫定利用方針を表明したのには、沖縄の基地負担軽減について「できることは全て行う」(安倍首相)との姿勢を強調し、辺野古移設に強く反発する県民の歓心を買おうとする思惑もにじむ。だが、そもそも普天間返還が合意から18年間も停滞している要因は、県民の理解を得ない県内移設計画に固執してきた日米両政府の「惰性」(レビン米上院軍事委員長)にある。

 仮に佐賀空港に普天間のオスプレイを移した場合、約600キロの行動半径を持つ同機でも尖閣諸島を含む南西地域には直ちに展開できない。政府が沖縄配備の理由としてきた抑止力論と矛盾しそうだが、防衛省は「空中給油すれば航続距離はほぼ無限になる」と解説する。だがそれはなおさら、普天間の県内移設の必然性が薄いことを意味することにほかならない。

 森本敏前防衛相は退任時に普天間の移設先について「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域」との説明をした。米側からも「海兵隊を沖縄から移動させても、ほとんどの緊急事態における作戦遂行上、大きな支障は生じない」(有力シンクタンクのランド研究所)といった指摘が上がっている。

 日米専門家が県内移設の軍事的必然性を疑問視している中、日本政府が一時的な「県外移設」の可能性を初めて示唆した形だが、辺野古の海への新たな基地建設を推し進めるその姿勢は変わっていない。

■普天間の現状 63機常駐、夜間の騒音深刻

 宜野湾市によると、米軍普天間飛行場には2013年末現在、輸送機MV22オスプレイやCH53ヘリなどの常駐機63機が配備されている。機体数はイラク戦争開戦時から減少傾向にあったが、米海兵隊の部隊展開計画(UDP)の再開で昨年6月にヘリ8機が追加配備されるなど、近年は増加に転じている。

 このほか米海軍のP3C哨戒機などが外来機として頻繁に飛来し、周辺地域上空を何度も飛行するタッチ・アンド・ゴーを行う。

 普天間の航空部隊は地上部隊とともに本島北部のキャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブ、北部訓練場、伊江島などで日常的に訓練している。

 沖縄の負担軽減策の一環として日米両政府は8月下旬までに、普天間のKC130空中給油機15機を山口県の岩国基地に移駐させる計画だが、米軍は地上部隊との連携の必要性などから沖縄の訓練継続を明言しており、負担軽減の実効性が疑問視されている。

 飛行場周辺では夜間に及ぶ騒音も深刻だ。沖縄防衛局の13年度調査では、午後10時を超える米軍機の飛行はオスプレイだけで60回確認された。午後10時以降の米軍機の運用を制限する航空機騒音規制措置の形骸化が再三指摘されている。

■普天間の5年以内停止 米政府、一貫して否定

 米政府は普天間飛行場の5年以内の運用停止に対し、「普天間は代替施設が完全に運用可能になった段階で閉鎖する。それなしにはできない」などと一貫して否定している。辺野古の新基地が完成するまで佐賀空港を暫定的に利用するとの提案に、米側が同意するかは不透明だ。

 米政府は普天間の航空部隊は海兵隊地上部隊と一体的に運用する必要があるなどと主張し、普天間の県外移設を否定してきた。仮に普天間のヘリ部隊が佐賀空港に暫定配備された場合も、海兵隊が「訓練」などの名目で普天間を使用し続ける可能性も想定される。

 一方で米側には「陸上部隊も含めて海兵隊を丸ごと本土に移転するとの提案なら、米政府は真剣に検討する」との見方もある。

 ただ小野寺五典防衛相は22日の記者会見で地上部隊の九州移転については「これはまだ。米側との今後の協議で相談していく」と述べるにとどめた。

(琉球新報)

このエントリーをはてなブックマークに追加