この夏は新型コロナウイルス感染症の拡大や経験のない豪雨、猛暑などいつもと違う夏になりました。

 クリニックの患者さんも、飲食やイベントのお仕事でお客さんが減ってこの先どうなるのだろうかと心配で寝られなくなった方、バイトがなくなり薬代が払えないために定期の受診ができなかった方、オンライン授業ばかりで生活リズムがくずれて無月経になった学生さん、子どもたちを毎日ほぼ自分一人でみていて、ストレスがたまっても友だちと会って話す機会もなくなって追い詰められているお母さん…。生活の変化や不安から感染症以外の健康面にもさまざまな影響がみられるようになってきています。

 そんなざわざわ落ち着かない夏の日、代替の大会として開催された甲子園高校野球交流試合を見ました。すべてを懸けてきた目標を失った高校生たちが、喪失感を乗り越え生き生きとプレーしている姿、そして一様に周りへの感謝を語る姿がありました。困難な状況に負けず成長していく高校球児たちの姿はとても輝いていて、勇気をもらいました。大切な人に会えること、笑って食事ができること、好きなことに打ち込めることなど、当たり前と思っていたものが当たり前でなく、かけがえのない大事なものなのだと気付かされます。

 また別の夏の日、診察後に20代の若い患者さんが1通のお手紙を手渡してくださいました。その方は自宅にいることが増えたので、この機会にお世話になっている人や親戚に手紙を書こうと思ったそうで、わたしやスタッフのみんなにも、感謝と気遣いの手紙を書いてくださいました。その心があまりにきれいでうれしくて、こちらの心まで澄んでいくように感じました。誰かの状況に思いを寄せ、親切で思いやりのある言葉を使っていくこと、それだけで世界は少し明るくなり、自分の心も晴れてくるなあと教えられ実感した出来事でした。(佐賀市 すこやか女性クリニック院長 西岡智子)

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