エアコン本体が設置された教室。設備工事などを経て12月稼働予定で、今夏は大型扇風機が置かれた=唐津市の佐志小

 佐賀県内で唯一、エアコンが未設置の小中学校がある唐津市は、来年6月までに全校設置を完了する見通しを示した。児童や保護者の声が後押しした格好で、新型コロナウイルス感染防止の交付金活用によって前倒しにこぎつけた。ただ、統廃合検討校や大規模改修を控えた学校への予算化が遅れていたことに、保護者から学習環境の格差への不満や児童の体調管理を心配する声も上がっていた。遅れる理由が住民には浸透していなかったことが背景にあり、市側の経過説明や情報発信のあり方が課題となっている。

 学校のエアコン設置を巡っては、例年より短い夏休みとなり、猛暑もあって、学習環境に対する懸念が高まった。特に県内20市町のうち唐津市だけが普通教室への設置が終わっていなかったことでクローズアップされた。普通教室数(昨年9月現在)が788と多い佐賀市は2018年度に完了していた。市民にはなぜ、494教室の唐津市が早急な対応ができていないのかという疑問があった。

 唐津市教育委員会は、佐賀市などに比べ最高気温が2~3度低いことから2011~13年度に扇風機を普通教室に設置した。17年、全教室へのエアコン設置を公約に掲げた峰達郎氏が市長選に初当選し、市教委は18年2月に19年度から7カ年で整備する計画を立てた。18年夏の猛暑を受け2カ年に短縮、見直しの際に統廃合検討校と大規模改修予定校の計12校は計画から外れていた。現在、51校のうち未整備はこの12校を含め29校あり、今夏には間に合っていない。

 公表はされていたが、統廃合検討校の保護者たちが2千人を超える署名を付けた要望書を提出したことからも、計画から外されていたことや、なぜ除外されていたかの理由が十分に伝わっていたとは言い難い。統廃合が確定していない中で「棚上げ」にされたことへの不信感も横たわる。国の補助金を充てる場合、7年以内に統廃合されてエアコンが不用になると補助金の返還が発生することなどがネックとなっていた。

 厳しい財政状況の中で、市としては設置を進めていたつもりだっただろう。住民側には早く進まないことへの不満がくすぶり、コロナ禍で一気に膨らんでいった。これまでとは違い、マスク着用も強いられる子どもたちのことを考えれば、すぐにでも対応を求める心情は分かる。市は市民団体の指摘を受ける前に未設置校の方策を検討し始めていたというが、そういった検討状況や経過を丁寧に説明していれば、不満や不安を助長することはなかったのではないか。この夏をしのぐために学校現場も、市や市教委も腐心していることは理解している。社会状況が大きく変わっている時である。より一層の発信力を求めたい。(辻村圭介)

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