山本三國さん(左)から、「たろめん」の調理方法を教わる町内の飲食店関係者ら=2010年10月

たろめんの調理。具材の野菜を炒めることから始まる

ショウガの効いた牛骨スープが特徴の大町のソウルフード「たろめん」

たろめんの調理。具材の野菜を炒めることから始まる

 ショウガの効いた牛骨スープの麺(めん)として知られる大町の“名物麺”「たろめん」。かつて炭鉱マンの腹を満たし、町民に愛された麺は、食堂の閉店で一時姿を消したが、2010年に復活した。今年は復活から10周年。大町でしか味わえない逸品の歴史と今をたどる。

 たろめんは、杵島炭鉱の炭鉱マンらが通った「中国飯店」にあったメニュー。炭鉱マンから転身して店を継いだ山本三國さん、ヒデコさん夫婦が、「たろめん食堂」と改称した店で味を引き継いだ。

 他の麺類と違いが際立つのが、ショウガの効いた牛骨スープ。そのスープに細麺のうどん麺が入り、豚のかしら(頭)肉やエビ、野菜などの具材がたっぷり盛られる。一見するとちゃんぽんだが、一口スープをすするとショウガの風味が口の中に広がる。ちゃんぽんとは全く別物だ。

 炭鉱閉山後も町民に広く愛されたが、2000年にたろめん食堂が閉店して食べられなくなった。10年後、町商工会が「まぼろしの味を復活して町づくりに生かそう」と、山本さんに秘伝の味の伝授を頼み込んだ。山本さんは飲食店の有志らに作り方を教え、試食も重ねて復活させた。レシピなどを守る「たろめん協議会」も発足し、今は町内の4店が提供している。

 協議会が守っているレシピは、(1)牛骨でスープを取る(2)具材は豚のかしら肉とエビ、タマネギ、ニンジン、キクラゲ、キャベツで、ショウガで炒める(3)麺はうどん麺-だ。

 レシピは一緒でも、店がそれぞれ工夫することで味は変わってくる。「ショウガの風味が印象に残る人が多いが、一番のポイントはスープ。それぞれの店のスープの違いが味の違いにつながっている」と福母食堂の藤瀬健一郎さん(42)。

 真エビを使ったり、ショウガを炒める際に刻んだものとおろしたものの2種を使ったり。調味料もコショウだけでなく、ウスターソースや酢、唐辛子をいったりして独自で用意している。乾麺を使う店が多い中で生麺の注文に応じる店もある。

 大町たろめん運営協議会の鈴山謙介代表(50)は「グルメ本に紹介されたり、B級グルメイベントに参加したりして、県外でも知られるようになった。大町のこの味をさらに受け継いでいきたい。12月の10周年に合わせて何かをやりたい」と話す。

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