多くの人が訪れたという「花手水」と佐藤さん。「どんなことがきっかけになるか分からない」と感じた=大町町の福母八幡宮

 2015年、24歳の時に福母八幡宮の宮司になった。社務所でさまざまなイベントを開き、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングで境内を灯ろうで飾る「灯篭(とうろう)の夕べ」を実現した。自らデザインする月替わりの朱印や趣向を凝らしたおみくじを求め、町外からも参拝客が訪れる。神社を起点に、地域の人とともに新たな感覚も取り入れて「神社を通じて町を元気にしたい」と思っている。

 参拝者から「神社は敷居が高い」「宮司さんと話す機会も少ない」との声をよく聞いたのが、「灯篭の夕べ」を考えたきっかけだった。クラウドファンディングは「資金集めというより大町という場所に福母八幡宮があることを広く全国に知ってもらいたかった」という。

 全国から30万円余りが寄せられたまつりでは階段や境内に、町の人やクラウドファウンディングの支援者がさままざな願いを書いた197個の灯ろうがともった。「神社を身近に感じてもらいたい」という願いが少しかなった。

 福母八幡宮は866年の創建で、佐藤さんの母方が代々神職を務めてきた。両親は神社と関わりを持たなかったが、中学生時代に「何のために生まれてきたのか」と考えていた時、母から「神社を継ぐためじゃないの」と言われたのがきっかけで宮司を考えた。國學院大神道文化学部で学び、県内の神社に奉職した後、41代目宮司になった。

 大学を卒業して大町に戻ると、あらためて町の良さが実感できた。「生まれ育った町だから、私にとってほっとする、落ち着く場所。高齢化が進み人口も減っているけど、小さな町だからこそ住みやすく大好き」と気に入っている。

 今年の梅雨も手水(ちょうず)鉢にアジサイを浮かべた。3年前からやっていた「花手水」は今年、新聞に掲載されたことで話題になり、県外からも多くの人が訪れた。「きっかけってどこにあるのかわからない」と思う。

 町では昨夏の佐賀豪雨で多くの家が浸水し、4月には死者も出る大きな火事もあった。災い事が続いていることに胸が痛む。「町で何か放送が聞こえてくるとみんなが敏感になっている。そんな中で福母八幡宮から明るい話題や癒やしを発信できれば」と思う。

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