使い捨てプラスチックによる海の汚染などを防ごうと、政府は近く、今後のプラスチックごみ関連施策の基本的な方向を策定する。おもちゃや洗面用具など家庭のプラごみを包装容器などとともに一括して回収する制度の導入方針を示す。

 だが、プラごみの排出削減はもちろん、リサイクルも十分に進んでいない中での一括回収は、問題解決にはつながらない。根本的な制度改革によって、使い捨てプラスチックの使用量自体を減らす政策に軸足を移すべきだ。

 政府が昨年決めた「プラスチック資源循環戦略」を具体化していくため、環境省と経済産業省は合同の専門家委員会を設置、「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」と題した文書を検討してきた。早ければ今月末にもまとめる見通しだ。

 この中に、家庭から出るプラスチック製容器包装と製品を新たに「プラスチック資源」と位置づけて一括して回収、リサイクルをするとの考え方を盛り込む。

 容器包装リサイクル法によって弁当容器などの「プラ製容器包装」のリサイクルが進む一方、法律の対象外であるおもちゃや洗面器といった製品の処理は地域によってまちまちで、焼却されたり、埋め立てられたりしているものがあるという事態に対応し、リサイクルの拡大を目指す。

 だが、日本のプラごみのリサイクルは既に大きな問題に直面している。回収率は海外に比べて高いものの、国内でのリサイクルプラスチックの市場は限られる。その結果、プラごみの6割超が焼却され、リサイクルプラスチックの多くが輸出に回っており、国内で真の「サイクル」は回っていない。

 プラごみがあふれる根本原因である、使い捨てプラスチックの大量生産と大量消費に手を付けずに、回収対象を増やしたとしても、地方自治体の負担と焼却によって排出する二酸化炭素の量が増えるだけだろう。

 ごみ問題の解決に重要だとされる「リデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル」の3Rの中で、最も重要なのは「削減」だ。

 海洋プラスチック問題が深刻化する状況下で、多くの国が課金や一部の製品の使用禁止、製品を生産する企業の責任強化などの政策を取り入れているのはそのためだ。

 だが、日本の政策は生産企業への配慮などから削減よりも、リサイクルが過剰に重視されてきた。その姿勢は新たな「方向性」においても変わっていない。

 方向性に関する現在の文書案は、その大部分がリサイクルの充実が中心で、「リデュースの徹底」は極めて簡単なものにとどまる。新型コロナウイルスの感染拡大で使い捨てのプラスチックの役割が再認識されていることなど、削減に逆行するような表現もあり、削減には及び腰だ。

 問題解決には、用途規制や、企業に製品がごみになった時の責任まで負担させる「拡大生産者責任の原則」の強化によって、使い捨てプラスチックの生産、消費量自体を減らすことが重要だ。課金や課税によって、代替品の市場での競争力を高める政策も欠かせない。

 行き詰まりを見せるこれまでのリサイクル政策の根本的な見直しこそ、今後の政策の基本的方向とするべきだ。(共同通信・井田徹治)

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