陶製の8番曳山「金獅子」を制作した三代目中野霓林さん=唐津市町田の中野窯

中野さんが制作した陶製の8番曳山「金獅子」

中野さんが制作した陶製の8番曳山「金獅子」

 唐津焼窯元の「中野窯」(唐津市町田)の三代中野霓林さん(69)が、唐津くんちの8番曳山(やま)「金獅子」(本町)の陶製置物を完成させた。精巧な作りで額、鼻、口など細部にわたって再現し、迫力ある姿に仕上げた。

 3年前、本町関係者が新築祝いと金獅子誕生170年を記念し、本町の若い曳(ひ)き子らで組織する本若会会長や本町正取締を務めた霓林さんに制作を依頼。霓林さんは唐津駅北口の「赤獅子」や「亀と浦島太郎」などの曳山を手掛けてきたが、金獅子は初めてだった。

 金獅子は1920(大正9)年の塗り替えの時、祖父の初代霓林さん(1876~1951年)の発案で額に突起を付け、口唇の左右の波形を削り、どっしりとした鼻の形にするなど現在の形となった。霓林さんは祖父の手掛けた部分を忠実に作り上げようと、曳き子時代は気にとめなかった細部を確認するため、曳山(ひきやま)展示場に度々足を運び、資料写真を何枚も撮影した。

 3月から本格的な作業に入り、今月初旬に完成。高さ55センチ、幅38センチ、奥行き33センチで実物のほぼ10分の1スケール。本体は焼き締めで、本町の文字などの白は粉引、眼や幕は鉄釉(ゆう)、歯には透明釉を用いた。

 依頼主は今年40歳で本若会を卒業するが、今年のくんちは曳山巡行が中止になった。「最後の年に曳けず残念だが、『金獅子』の出来映えが良く、いい記念になる」と喜ぶ。霓林さんも「コロナ収束を願い焼き上げた。今年の分まで来年のくんちが盛り上がってほしい」と話す。金獅子は今月末まで、同窯で展示する。(成富禎倫)

 

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