県選出の元衆院議員山下徳夫さん(1919~2014年)は85年夏、運輸大臣として「日航機墜落事故」の陣頭指揮に当たった◆520人死亡、生存者4人という、日本の航空史上最悪の事故からきょう12日で35年。山下さんは以来、生存者の川上慶子さん=当時(12)=の搭乗券のコピーを持ち歩き、機会があれば知人に贈っていたという。山下さんはあの日、墜落した日航機が福岡から羽田に向かう直前の便に搭乗していた。また、72年、インドでオーバーランの飛行機事故に遭遇。82年の日航機羽田沖墜落事故の際は、所用で1便遅れたことで命が助かった。川上さんの搭乗券はお守り代わりであり、事故を二度と起こしてはならないという決意だった◆巡り合わせで助かった人は他にもいる。タレントの明石家さんまさんはあの日、テレビ収録が予定より早く終わったため、日航から1便早い他社に変更した。逆に歌手の坂本九さんは当初の予定が狂い、日航機に乗って命を落とした◆運不運の問題ではない。もとより、安全運航は当然の責務だ。一つの重大災害の裏に29の軽微な事故があり、その裏に300の異常があるという「ハインリッヒの法則」を改めて肝に銘じたい◆惨事を知らない若者が増える中、「忘れてはならない日」として語り継ぐことも、犠牲者への追悼になる。(義)

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