「御船方」銘の碗

灘越蝶文皿(側面に「海」銘)

 佐賀藩洋式海軍根拠地であった三重津海軍所跡の発掘調査では、「荒波を越え飛翔(ひしょう)する蝶(ちょう)」を描いた皿が出土しました。

 この図案は藩直営の「鍋島藩窯」で用いられた「灘越蝶文(なだごしちょうもん)」を簡略化したもので、近代化事業で重要な役割を担う海軍を象徴する図案として特別に取り入れられたのかもしれません。皿の側面には「海」「役」の文字銘が入れられていますが、他にも「舩(船)」「御舩方(おふなかた)」の文字銘が入った碗(わん)なども出土しました。

 文字銘は、三重津を所管した「海軍取調方(とりしらべかた)」や「舩方」の役方名と考えられ、同様の食器は海軍本局があった佐賀城本丸発掘調査でも出土しています。

 これらは、藩が特注した製品で、志田(嬉野市塩田町)などで生産されたことが化学分析から分かりました。特定機関の専用食器を組織的に生産した例は「御薬製方」銘が入った武雄鍋島家製薬道具が初例で、本藩の海軍磁器食器はその系譜を引き継いだ製品と考えています。(佐賀市教育委員会文化振興課・中野充)

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