例年、大勢の人出でにぎわう唐津くんち。今年は新型コロナウイルスの影響で、開催するかどうか協議が続いている=2019年11月4日、唐津市の米屋町通り

 新型コロナウイルスの影響が続く中、唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」(11月2~4日)を開催するかどうか、祭りを取り仕切る唐津曳山(ひきやま)取締会が頭を悩ませている。感染防止に向け、人混みを緩和する手だてが難しいためだ。関係者は盆前にも結論を出そうと協議を続けている。

 曳山(やま)の垂れ幕を町田川で洗ったことに由来する「幕洗い行事」。くんちが近づきつつあることを告げる夏の風物詩だが、今年は全て中止になった。行事後の宴席での「密」を避けるためで「身内から感染者が出ないように」と神経をとがらせている。

 14台の曳山行列からなる勇壮な唐津くんち。1819(文政2)年の1番曳山「赤獅子」の誕生から数えて200年の歴史の中で中止したことがなく、太平洋戦争中も女性や子どもが曳山を曳いた。1989(昭和63)年、昭和天皇の健康悪化で日本中が「自粛ムード」に包まれた時も病気平癒を祈願して執り行った。

 唐津くんちを含むユネスコの無形文化遺産「全国33件の山・鉾(ほこ)・屋台行事」のうち、今年は「博多祇園山笠」などほぼ全ての祭りが感染防止を理由に中止したり、縮小や延期を決めたりしている。

 唐津くんちは例年、大勢の子どもが参加し、東京など大都市圏から戻る曳き子も多い。3日間で50万人前後の見物客が市内を訪れ、沿道は多くの人であふれかえる。取締会では、人混みができることを避けるための誘導や曳山の巡行の短縮などの対策を検討してきたが、不安は尽きない。

 予約が入っている宿泊業者は「中止になればキャンセルの対応を考えないといけない」と気をもむ。商工関係者は「経済が落ち込み、祭りをやってほしいのが本音。でも万一、感染の拡大につながったら、魅力的な唐津のイメージが損なわれかねない」と危惧する。

 唐津神社、曳山取締会、氏子総代らは7月28日に対策を話し合ったが、結論は出ていない。曳山取締会の山内啓慈総取締(71)は「県が示した『祭りの開催ポイント』を参考にしながら、対応を模索している。お盆の前後には何とか判断したい」と明かす。曳き子の一人は「くんちがない秋なんて考えられないけれど、上(曳山取締会)の判断を待つしかない」と行方を見守る。

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