新型コロナウイルスの影響でイベントの中止が相次ぐ中、佐賀県が地域単位の祭りを対象に感染防止対策の指針をまとめた。県は「できるだけ開催してほしい」としているが、祭りや行事の主催者の「感染者が出たら」との懸念は強い。県も各地域も伝統継承の面から中止を避けたい思いは同じだが、感染は再拡大の局面にあり、主催者らは難しい判断を迫られている。

 県が示した指針は、祭りやイベントを開く上で注意すべき点を、イラストも交えて紹介している。原則として3密を避け、手洗いや体調不良の際は参加しないことを記している。主催者には行事参加者の名簿の作成や、会場に立ち位置の目印を置くなどして人混み解消の工夫する具体策を例示している。

 「祭りはどうしても密になる」と話すのは佐賀市の北川副まちづくり協議会の福田忠利会長(78)。北川副小グラウンドで開く地域の夏祭りには毎年2千人近い人出がある。「自治会では何かあったときの責任がとれない」。中止を決めた。

 10月に開かれる唐津市相知町の熊野神社の秋季例大祭「相知くんち」。山笠と、唐津藩の大名行列を模した羽熊はぐま行列(市重要無形民俗文化財)などが地区を練り歩く。地元住民が中心の曳ひき子は感染症対策を指示しやすいが、問題は町外から来る見物客だ。例年は沿道から声援が飛ぶが、県の指針では、見物客に対し「大声での掛け声や必要以上の接近は控えて」などと呼び掛ける。結局は地区内から「今年はやめて」との声も上がったため、開催を見送った。

 規模を縮小して実施する祭りもある。武雄市で10月に開かれる流鏑馬やぶさめは県の指針を参考に、町を練り歩く「エイトウ」と呼ばれる行事などを取りやめ、1人だけが流鏑馬を披露する。実行委員会の諸岡康民委員長は「800年を超す伝統があるため、どうしたら実施できるかを考えた」という。

 指針をまとめた県政策部の担当者は「あくまで対策の例示であって、開催のための基準ではない」と説明する。「子どもや若者が減少する地域では、1度の中止が伝統の消失につながりかねない」とした上で「難しい判断とは承知しているが、指針が開催の決断のよりどころになれば」と話している。

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