「長居する客は嫌われる」というが、今年の梅雨は長かった。「バケツをひっくりかえす」ような雨が何度も続いたからだろう。松尾芭蕉が〈五月雨をあつめて早し最上川〉と詠んだ最上川(山形県)も53年ぶりに氾濫した。芭蕉が想像しなかった光景かもしれない。一方、与謝蕪村には〈さみだれや名もなき川のおそろしき〉という句があり、こちらはあわやの体験をしたのかもと想像する◆7月の降水量が佐賀市で初の1000ミリを超えた梅雨がきのう30日、明けた。九州北部は6月11日の梅雨入りから49日。希望が満ちる「明け」の響きが今年は特にうれしい◆梅雨明けには、太平洋高気圧が強まって梅雨前線を北に押し上げるタイプと、オホーツク海高気圧が南下し、じわじわと夏の高気圧に変質する二つのタイプがある。前者は「梅雨明け十日」と呼ばれるようにしばらく晴天を期待でき、後者はムシムシした曇天が続くという◆長梅雨の一方で、7月はきのうまでに台風が一つも発生しなかった。「7月に台風ゼロ」なら観測史上初。「歓迎したくない客」だけに、8月以降も来ないとよいが、そういうわけにはいかないだろう◆不意の来客にも慌てずに済むよう、普段から部屋を片付けておく。「招かれざる客」に居心地の良い家と長居されても困るが、備えを怠らないようにしたい。(義)

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