英語に「エンパシー」という単語がある。かわいそうな立場や問題を抱えた人に思いやりや同情を覚える「シンパシー」に似ているが、英国在住の保育士でコラムニストのブレイディみかこさんによると「エンパシーは自分と違う理念や信念を持つ人、別にかわいそうだと思えない立場の人々が何を考えているのだろうと、想像する能力」となる◆世界でさまざまな分断、対立が起きる中、自分とは違う人の気持ちを想像する力は大切だ。移民が増えている英国は、中学校からエンパシーの教育にも力を入れているという◆神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件からきょう26日で4年。被告は死刑が確定したが、「意思疎通ができない重度障害者は生きる意味がない」と言い放った心の闇は解明されず、被告にそう思わせた社会のありようも問われた気がする◆人は感情と付き合っていかなければならない。自分とは違う姿、価値観を「嫌だ」と思う小さな感情が差別や偏見となり、憎悪に変わる恐れさえある。その過程にブレーキをかける力の一つがエンパシーだろう◆全ての命に価値があり、命を奪っていい権利など誰も持たない。これは人として当然身につけるべき「道」である。道徳は「道」を「説く」と解釈される。家庭や学校、地域で子どもの頃からしっかり教えたい。(義)

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