これまで、働き方改革(過重労働の改善)が産業保健の分野でかなり議論されてきました。今は、在宅勤務(ワーク)が推奨され、社会システムが根本的に変化しつつあります。例えば、富士通などの大企業は、将来的にすべての業務を在宅勤務にする計画を立案中とのこと。もちろん、業種によって、在宅ではできない業務(例えば、病院、警察、運搬・配達、郵便、タクシーなど)は多々あり、今回のコロナ禍で在宅勤務がどれだけ大変なのかを初めて経験しました。

 日常性の喪失、睡眠覚醒リズム障害、運動不足(肥満傾向)、新たな生活習慣病(体力や免疫力の減退)、自由な生活スタイル(ただし、社会的な拘禁状態)、ストレスフリー(人間関係が苦手な方にとって)。社会全体の働き方や楽しみ方も大きく変化してきていますが、根本的に人は人で癒やされるものだと思います。

 九州大学の行動指針(0~5:0が通常、5は立ち入り禁止)は現在のところ、段階2(制限・小)です。段階2では、感染拡大防止に最大限の配慮をしつつ、研究スタッフは現場での滞在時間を極力減らし、自宅での作業が可能か検討する必要があります。原則として、遠隔授業による科目のみの開講とし、対面授業によるものは開講していません。

 幸福度ランク「世界1位」のフィンランドでは、午後4時に帰るという「100%を求めない」働き方が行われています。そこでは、就業時間を午前8時~午後4時15分に定める企業が多く、4時半を過ぎると職場に人はほとんど残っていません。保育園の預かり時間も大抵4時半~5時に終わるので、子育て中の社員は急いでお迎えに行く必要もあります。有給休暇の完全消化は当たり前、夏休みを1カ月くらい取る人も少なくありません(この習慣は、ニュージーランドも同様)。

 今、一番辛いのは、大学の新入生でしょうか。入学式もなく、対面の講義もなく、友人もできず、課外活動もできず、今のところ、引きこもるしかありません。私たちが健康になるには、早く、この状況を打開できることを祈るしかありません。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター・副センター長・統括産業医 佐藤 武)

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