陸上女子800メートル決勝 集団から抜けだし、一気に差を付ける佐賀北の稲田亜衣=佐賀市のSAGAサンライズパーク陸上競技場

 大けがからの鮮やかな復活劇だった。女子800メートル決勝は、佐賀北の稲田亜衣(3年)が軽やかな走りで序盤から抜け出すと、一気に差を広げて「一人旅」に。約1年ぶりとなる大舞台を、見事優勝で飾った。

 地元の福岡県大牟田市で中学から陸上を始め、3年で出場した愛媛国体・少年女子Bでは、2分11秒50で3位入賞。全国の舞台で活躍し、早くから注目を集めてきた。

 「もっと上を目指したい」と、日本陸連ジュニア強化育成部のコーチも務める松永成旦監督に師事するため、佐賀北に進学。レベルの高い指導を受け、1年生の秋にはU-18日本選手権800メートルで日本一に輝いた。

 だが、2年生になると、足に痛みが走るようになった。違和感を抱きつつ練習に打ち込んでいたが、昨年の県高校総体前日に病院で診察を受け、足の舟状骨にひびが入り、内出血していることが発覚。松永監督から将来を考えてじっくり治療することを勧められ、約2カ月間ギプスを付けての療養生活を送った。

 大会に出場できず、成績が残せない日々。他県の陸上関係者から『稲田は消えたね』と言われたこともあった。稲田は「走れないことが悔しくて、挫折感があった」と振り返る。

 リハビリを経て、2年の秋から徐々に練習を再開。夏のインターハイに照準を合わせてトレーニングを積んできたが、新型コロナウイルスで大会は軒並み中止になり、待ちに待った復活の場はSSP杯になった。

 けがの前と同様、圧倒的な強さを見せつけた稲田。「レースを通して成長を実感できた。みんなの前で走れてうれしかった」と爽やかな笑顔を見せた。

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