山口県岩国市の米軍岩国基地から陸上自衛隊木更津駐屯地に到着し、暫定配備された輸送機オスプレイ。防衛省は最終的に佐賀空港への移駐を目指している=7月10日、千葉県木更津市(撮影・山口貴由)

 防衛省が佐賀県に対し、佐賀空港への陸上自衛隊輸送機オスプレイの配備を要請して今月で6年。防衛省は駐屯地の2018年度中の完成を目指したが、自衛隊との空港共用を禁じた県と県有明海漁協との公害防止協定があり、見直すかどうかの協議が続いている。既に米国から運び込まれたオスプレイは、佐賀配備が実現するまでの「5年以内」という約束で7月10日に陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)へ暫定配備された。受け入れるか否か、佐賀県内の関係者に決断を迫ろうとしている。

 「尖閣諸島をはじめ、中国の活動が南西諸島付近で活発化している」。21日の閣議後会見で、要請から6年の所感を問われた河野太郎防衛相。長崎県佐世保市の相浦駐屯地を拠点とする水陸機動団を「しっかり養成してきた」と実績を強調し、「(水陸機動団の空輸に)オスプレイは非常に重要なので、なるべく早く地元の了解をいただき、配備を進めたい」と佐賀配備への決意をにじませた。

 7月に公表された2020年版防衛白書では、オスプレイの配備先として「佐賀空港が最適の飛行場」と明記する一方、佐賀配備には「一定期間を要する見込み」とも言及した。木更津市は「5年以内を目標」とすることで暫定配備を受け入れた。市関係者は「25年7月9日23時59分59秒が期限だ」と暫定の約束をほごにされないよう念を押す。

 山口祥義知事は18年8月、計画の受け入れを表明し、空港建設時に漁協と結んだ自衛隊との空港共用を否定した協定の変更を申し入れた。その後、防衛省が19年9月から漁協全15支所で説明会を順次開催し、今年6月上旬に終えた。

 漁協は各支所の代表者らでつくるオスプレイの検討委員会を組織しており、ここで協議に入る前提が全支所で説明会を終えることだった。県関係者は「ようやく環境が整った」と話す。

 一方で、2014年7月22日の配備要請以降、オスプレイを巡っては事故やトラブルが米軍機で相次ぎ、安全性への懸念は根強い。漁業者にとっては、国営諫早湾干拓事業の開門訴訟とも相まって、国への不信感はくすぶっている。

 そうした中、今月14日、防衛省を驚かせる出来事があった。元防衛相の中谷元氏(衆院高知1区)が河野氏に高知県宿毛市へのオスプレイ配備を提言した。中谷氏は防衛相時代の15年に佐賀を訪れ、配備に協力を求めた責任者。省幹部は「大臣経験者の発言には重みがある。佐賀でなくてもいいという印象を与えかねない」と干渉に困惑する。

 防衛省は木更津市に「5年以内」と約束する一方、佐賀県では期限を切ることはしない。漁協に対しても「できるだけ早く配備したい。精力的に議論してほしい」と述べるにとどめ、配慮を見せるが、「防衛族」議員の不規則発言の裏からは、省としての焦りが透けて見える。

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