ツイッターに投稿された動画と7日付の本紙紙面

 佐賀県内で特別警報が発令された6日の大雨。佐賀新聞社は被害の状況を取材する中で、SNSに投稿されたり、読者が撮影したりした動画を提供してもらい、紙面やウェブサイトに展開した。「ゲリラ豪雨」の言葉通り、いつ、どこで起こるのか分からない近年の災害。市民が発信する動画や写真は、リアルタイムで伝える重要な情報になっている。掲載の経緯や本社の議論を紹介する。

 

 6日は鹿島市や藤津郡太良町など県西部を中心に大雨が襲った。同市付近は同日午後3時半までの1時間に約110ミリの猛烈な雨を記録し、同3時36分に記録的短時間大雨情報が発表された。鹿島支局の記者は太良町で土砂崩れの情報があり、現場へ向かっていた。

 気象や土砂災害、避難情報などが相次いで出される中、ウェブ展開を担当するメディア局コンテンツ部は、SNSを通じて情報を収集。鹿島市の祐徳稲荷神社そばの浜川からあふれる濁流の動画を、ツイッターで見つけた。投稿者に連絡を取って提供を依頼し、掲載の了解を得た。

 鹿島支局の記者は、土砂災害の懸念からすぐに鹿島市内に戻ることが難しく、太良町で避難所の取材に切り替えた。その後、関係者からLINE(ライン)を通じて、約20棟が床下浸水したという鹿島市の門前商店街が水に漬かっている様子を撮った動画を提供してもらった。

 同日夕の編集会議。県内各地で記者やカメラマンが撮影した複数の写真を見比べた。ツイッターに投稿された動画は「短時間の局地的豪雨の猛威を物語っている」と判断。動画から1シーンを切り取るため、紙面に印刷した場合の画質が荒くなることも考慮した上で、7日付1面で掲載した。記者が入手した動画からも一場面を24面に載せた。ウェブサイトでは、提供してもらった動画を配信した。

 佐賀新聞社は、本社を含め県内各地に八つの取材拠点があるが、情報が交錯する中、被災現場に駆けつけることには限界がある。6日の大雨は、土砂崩れや氾濫の発生が午後の短時間に集中していたこともあり、読者の協力で被害の実情に迫ることができた。

 

■情報提供の場、ウェブサイトに常設

 被災現場や行政の対応などの情報を、いち早く正確に伝えることが求められる災害取材。一方で、状況が刻々と変化する中、情報収集に混乱が生じたり、複数箇所で同時多発的に災害が発生した場合、現場取材が難しい場合もあります。

 災害時のSNSについては、初期段階から被災者が救助を求めたり、被害の状況を伝えたりしており、その後は支援の呼び掛けなどが行われています。自治体も避難情報などを出しているほか、全国のマスコミ各社も現場の情報提供を求めるなどしており、住民の皆さんに必要な情報の発信・収集の有効な手段として定着してきています。

 佐賀新聞社では、これまでも昨年の佐賀豪雨の際には、SNSで現場の気付きや困り事といったご意見を寄せてもらいました。今後は災害時に限らず、決定的瞬間を捉えた動画やさまざまな情報を投稿してもらうため、常設のコーナーを佐賀新聞のウェブサイトに開設しました。専用フォームかSNSのメッセージで直接お寄せ下さい。読者の皆さんと一緒に、紙面やウェブサイトを充実させていきます。

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