新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面解除されて25日で2カ月となる。東京都など自治体と国の間で不協和音が目立つ中、「第2波」と呼ぶべき感染拡大再燃を招いた。

 終息が見通せない以上、持久戦の構えで感染防止と経済再生の二兎(にと)を追うほかない。しかし状況に応じブレーキ、アクセルを踏み換えなければ、一兎も得られない危険がある。それを実感した2カ月間ではなかったか。

 都の1日当たり新規感染者は5月25日の宣言解除後徐々に増え、6月19日の県境越え移動全面解禁後から急上昇。7月半ばには300人に迫る日が続いた。大阪府も連日90人近くになった。国内全体の感染者数も4月の水準に戻り、2カ月前は800人台だった死者は千人を超えている。経済を回しながらの感染拡大防止は、少なくとも現時点では成功していない。

 政府は4月に比べ重症者が少ないことを根拠に宣言再発令を否定する。感染が若者中心で軽症、無症状者が多いためだが、市中感染は進んで中高年にも広がりつつある。このままでは入院病床は逼迫(ひっぱく)する可能性が高い。

 東京都は警戒度を最高に引き上げ、病床や療養のためのホテル確保を急ぐが、目指す2800床確保がなかなか達成できない状況が続いた。宣言解除後、態勢に緩みが生じていなかったか。早急に立て直しが必要だ。

 コロナ対策は安倍晋三首相ら国のリーダーシップの下、自治体が結束すべきだ。だが実際には、世論を背に不満を強める地方や与党から突き上げられ、政府が方針転換する朝令暮改が続く。全国一斉開始予定だった観光支援事業「Go To トラベル」の割引対象からの東京都発着旅行の除外、それに伴うキャンセル料補償は最たる例だ。

 以前にも、緊急事態宣言の発令判断、店舗への休業要請と補償、減収世帯対象の30万円給付から全国民一律10万円給付への変更、自治体向け臨時交付金2兆円増額―などはいずれも地方や与党に迫られ実行した。これは、自治体に比べ政府が「たこつぼ化」し、生活や仕事の現場にある国民の声が届かなくなっていることが原因ではないか。

 西村康稔経済再生担当相は、感染防止策が不十分なキャバクラなどに「特措法24条に基づく休業要請」を検討すべきだと言う。24条が定めるのは、緊急事態宣言なしで知事がする協力要請だ。

 ただ4月には、24条を使い政府方針より幅広く休業要請しようとした小池百合子都知事に西村氏が待ったをかけた。政府はかつて邪道扱いした24条適用を今度は求める。知事側がそれなら補償や罰則の規定が必要と主張するのも当然だろう。

 政府が休業要請が必要とするなら、法的義務を伴う緊急事態宣言を感染拡大地域に再発令するのが筋だ。国はコロナ対策のため本年度全体で90兆円超の借金を抱えた。長期戦に向け支出を抑えたいため、再び補償を伴う休業要請の「主役」になることに消極的なのかと疑念が生じる。執行を自治体に委ねても最終責任は国が負うのが地方分権の本来の姿ではないか。

 未体験の事態に臨むコロナ対策では曲折も避けられまい。実践しつつ検証し、国民に説明責任を果たして果断に軌道修正すべきだ。その際、国は地方の声を機敏に吸い上げ足らざるを補う柔軟な姿勢が不可欠だ。(共同通信・古口健二)

このエントリーをはてなブックマークに追加