疫病収束を願った人形の実物(手前左)と復元模型(手前右)。奥にあるのが「鬼」の文字を書いた墨書土器=佐賀市大和町の肥前国庁跡資料館

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止を願い、「古代の祈りとまじない展」と題した企画展が21日、佐賀市大和町の肥前国庁跡資料館で始まった。疫病の収束への思いを込めた奈良時代の土器や人形など約100点を展示。医療が発達しておらず、祈りにすがるしかなかった古代人の思いが感じられる展観となっている。

 企画展は佐賀市教育委員会が主催。市文化振興課によると、奈良時代中頃の735~737年、朝鮮半島からの使節、遣唐使からもたらされた天然痘が猛威を振るい、国内人口450万人のうち3割が命を落としたという学説があるという。

 この時期につくられた墨書土器と人形(ひとがた)を並べる。「墨書土器」は直径15センチの碗(わん)のふたで、疫病や災害を意味する「鬼」の文字が三つ書かれている。同市久保泉町の上和泉遺跡の集落から離れた場所で見つかり、病を封じ込める狙いがあったとみられる。

 「人形(ひとがた)」は徳永遺跡(久保泉町)の川の中から出土し、縦20センチ、幅5センチの板に人の顔が描かれている。ひな人形の源流となった年中行事「大祓(おおはらえ)」にちなむもので、昔の人たちが災厄を移すために息を吹きかけて川に流したという。遺跡は一帯を治めていた郡の役所で、平城京から派遣された国の役人、豪族が病の収束を願って使ったと考えられる。

 当時の聖武天皇は仏の力で疫病と凶作を鎮めようと全国に国分寺と国分尼寺を建立しており、佐賀市大和町の両寺跡から出土した鬼瓦、平瓦も展示する。

 市文化振興課は「願掛けした1280年前の人たちと、コロナワクチンがまだ開発されない私たちとの思いが共通する部分があるはず」と話す。

 展示は8月30日まで。月曜休館、入場無料。

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