京都府宇治市を舞台に、吹奏楽に情熱を傾ける高校生の青春を描いたアニメ「響け!ユーフォニアム」に、宇治の街並みを一望できる大吉山展望台という場所が出てくる。ここを訪れた筆者の子どもは「アニメ通りの景色だった」と興奮していた◆アニメファンの多くが、お気に入りの作品に出てきた場所や風景を「聖地」と呼び、そこを訪ねる。アニメの世界と現実の風景が重なり合うことで感動が深まるのだろう◆「響け!ユーフォニアム」は「京アニ」の愛称で親しまれる京都アニメーションが手掛けた。京アニは全ての工程を自社スタッフで完結するこだわりが特徴の一つ。作品の世界観を忠実に表現した、丁寧できれいな描写が魅力という◆その製作現場が大火に襲われ、36人が犠牲になった放火殺人事件から、きのう18日で1年。容疑者は逮捕されたが、凶行の動機は解明されていない。帰らない命に遺族の無念さ、悲しみが癒えることはない。容疑者は自分が犯した罪と向き合い、償ってほしい◆きのう、京アニによる追悼映像がネットで公開され、「志を未来につないでいく」という決意が紹介された。亡くなった人を忘れずに思い、少しずつでも前に進むしかない。放火事件とコロナで2度延期された新作映画は9月に公開予定。聖地となる風景がきっとある。楽しみに待ちたい。(義)

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