コロナウイルス流行で、発熱についての関心が高くなっています。子どもは大人よりも代謝が活発なので体温は高めです。体温は筋肉や肝臓など臓器の活動を反映し、運動、入浴、食事などで上がり、休息や睡眠で下がります。37.5℃くらいを上限に、1日約1℃くらいの幅で変動します。
「熱が出たら下げないといけない」と思っているお母さんも多いようです。38℃以上の体温上昇は“異常のシグナル”に間違いないのですが、「場合によっては、必ずしも悪者ではないかも」と考えられるようになってきました。子どもは、感染症、膠原(こうげん)病、悪性腫瘍、発熱中枢の機能不全などもろもろの原因で熱発しますが、その多くは感染症です。病原体は体温が高いと増殖しにくいことがわかってきました。体は病原体に対応するため体温を高めに設定し直すことで、増殖を抑制し、免疫細胞も活性化させて臨戦態勢に入ります。発熱すると食欲が落ち、眠たくなるため活動には不適で、体を動かさなくなり安静が保てます。病気の時の安静はとても大事で合理的です。代謝も減り健康な時ほど食事の量を取る必要がなくなります(ただし、水分蒸発量は増えるので、水分はしっかり補う必要があります)。
これらのことを考えると、必ずしも発熱は本物のワルではなさそうです。原因がウイルス性の風邪ならば、解熱剤は必須ではないかもしれません。少し体温を下げて気持ちをよくするため、冷たいぬれタオルで首や脇の下(大きな動脈が通っているところ)を冷やすのも有効です。しかし、「38.5℃以上になったら解熱剤を使ってね」と指導されることも多いようです。高熱だと、きつくてぐったりし、うなされたり、ひきつけを起こす子もいます。解熱剤には一時的ですが痛みや不快感を軽くする作用もありますので、高熱を起こす可能性がある時、乳児以上なら私も解熱剤を処方します。
感染症による発熱という前提で話をしましたが、大事なことは、発熱の原因をしっかり推定することです。そこから、適切な対応がはじまります。

付記:発熱時の入浴は必ずしも全て不可ではありません。全身状態が悪くなければ、ぬる湯でさっと入浴させるのはかまわないと思います。
 

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