「十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人」という言葉がある。他の子どもより何か優れたものをわが子に見つけ、「この子って天才」と思ってしまう親は多いかも。だが、人の成長速度、歩み方は人それぞれ。長い人生を全速で走り続けるのは難しい。「無理せず一歩一歩進んでくれればいい」。最後はそう願う親心である◆この人はしかし、次元が違う。神童のまま、高速で走り続けている。将棋の棋聖戦できのう16日、藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖を破り、史上最年少でタイトルを獲得した。藤井七段は愛知県瀬戸市出身。東海にタイトルをと願いながら47歳で急死した板谷進九段(名古屋市出身)の孫弟子にあたる◆最年少記録でその悲願をかなえた藤井七段の歩みを「天才だから」の一言で済ませてしまっては失礼になる。「これを知る者はこれを好む者にしかず、これを好む者は、これを楽しむ者にしかず」と論語にある。「知るより好きが大事。好きより楽しむことがもっと大事」という意味だ◆藤井七段は小学生の頃、「名人超えを目指す」と語っていたという。将棋という好きなものを早くに見つけた運と、楽しんで不断の努力をできる才能に恵まれた◆名人は最低でも5年かかる最難関のタイトルだが、藤井七段には「二十過ぎれば名人位」も夢ではないだろう。(義)

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