マニラのウナギ専門店「うな吉」が提供するうな重=2日(共同)

 マニラのウナギ専門店「うな吉」=2日(共同)

 日本でウナギ商戦が本格化する21日の「土用の丑(うし)の日」を前に、ウナギを食べる習慣のないフィリピンでもじわりと熱気を帯びている。東南アジアに生息する種類のウナギをフィリピン国内で養殖し、現地の専門店で提供する“地産地消”だ。

 首都マニラ中心部。日本料理店が軒を連ねる「リトル東京」のそばで、ウナギ専門店「うな吉」から香ばしい匂いが漏れる。2016年6月の開店以来、うな重(上980ペソ=約2100円)やひつまぶし、肝焼きなどを出している。使うのは日本人が長年食べ続けてきたニホンウナギではなく「ビカーラ種」。「皮が少し硬めですが、かば焼きにするとニホンウナギと味は遜色ない」。店長で料理人の寺島則明さん(54)が説明した。

 ニホンウナギは乱獲や大量消費の末、枯渇し、国際自然保護連合(IUCN)が14年に絶滅危惧種に指定した。代替品として注目されたのが、フィリピンやインドネシアを主な産地とするビカーラ種だ。

 うな吉経営者の嶋川修三さん(61)によると、主な客層は在留邦人だが、フィリピン人も富裕層や日本滞在経験者を中心に来店する人が増えているという。店内には丑の日の説明書きを張り出している。

 フィリピン漁業水産資源局によると、北部ルソン島や南部ミンダナオ島に輸出用ビカーラ種を育てる養殖場がある。嶋川さんによれば10カ所前後という。

 食文化を広げつつあるビカーラ種だが、日本鰻輸入組合(東京)の森山喬司理事長は「養殖技術が未確立という短所もある。どれだけ浸透するかの過渡期にあるのではないか」と指摘する。

 養殖とはいっても、野生の稚魚を捕獲して育てる点ではニホンウナギと同じ。既に準絶滅危惧種とされてもおり、資源保護と安定的な調達の両立は国境を越えた課題となっている。(マニラ共同=岩橋拓郎)

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