国交省想定の整備新幹線の工程

 九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)を速やかにフル規格で整備するためのタイムリミットは7月末-。国土交通省が提案した複数の整備方式に対応する環境影響評価(アセスメント)の狙いはこのタイムリミットをしのぎ、佐賀県の理解を得るための時間的猶予を確保することだった。県は15日の国交省との協議で改めて提案を固辞し、当面はフル規格を受け入れない明確な姿勢を貫いた。議論は一つの節目を迎える。

 なぜ7月末がタイムリミットなのか。これまで整備新幹線は複数区間の建設財源を同時に確保してきた。長崎ルートと同様に未着工の北陸新幹線(敦賀-新大阪)は、2019年度から4年を目安にアセスを実施している。金沢-敦賀開業後の23年度から切れ目ない着工を目指し、与党はアセス期間内に財源確保を検討するとしている。

 「毎回、財源確保は複数区間の政治家を巻き込み、大騒ぎをして苦肉の策をひねり出してきた歴史がある」と国交省幹部。「北陸新幹線が根こそぎ財源を持っていった後、長崎ルートが単独で財源確保するのは現実的に厳しい」

 国交省によると、新鳥栖-武雄温泉を北陸新幹線と同時に23年度からフル規格で着工するには、逆算して8月からアセスの手続きに入る必要があるという。足立基成幹線鉄道課長は15日の協議で「重要な局面に立っている」ことを強調し、県に7月末までの間に複数アセス案の受け入れを再考するよう求めた。

 国交省内には県が翻意しない場合、「北陸新幹線の財源論議と完全に切り離すことになる。今後も県との協議で手を抜くつもりはないが、当分はグイグイやる必要がなくなるかもしれない」との声もある。

 一方、佐賀県の南里隆地域交流部長は足立課長を前に「フル規格にはさまざまな課題があり、県にとって大きな問題。どこか(他の区間)のスケジュールに合わせて議論しようとは考えていない」と明言した。記者団には「(北陸新幹線の財源確保と切り離されれば)しっかり時間をかけて協議でき、逆にいいのではないか」とも述べた。

 財源という整備新幹線で最も大きな課題を前に焦りを見せる国交省。佐賀県との「時間軸」の溝は深く、両者の協議は序盤から大きなヤマ場を迎えている。

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