絵本作家真珠(しんじゅ)まりこさんの『もったいないばあさん』は「もったいなーい」と言いながら突如現れるおばあさんが、モノを大事にする大切さを説く絵本シリーズ。アニメが今、6カ国語でネット配信されている◆その一つ「もったいないばあさんかわをゆく」は、山奥で生まれた「川の赤ちゃん」が海に流れ着くまでをたどる。下流では、汚れた水に川の赤ちゃんが泣き、海では、ごみを誤食した魚が悲鳴を上げる。ペットボトルをポイ捨てした子どもはごみを捨てたらいけない理由が分かり、海岸でごみを拾う◆豪雨のたびに、大量のごみが海に流れ込む。自然分解しないプラスチックごみが増え、川の赤ちゃんの泣き声は大きくなるばかりだろう◆暖衣飽食の現代。ともすれば「もったいない」の意味を見失いがちになる。辞書には「物事の価値が十分に生かされていないので残念なこと」とある。人やモノ、生き物や自然を愛しなさいということでもあろう。日本独自の言葉だからこそ「もったいない」を死語にしてはいけない◆海に流れ着いた川の赤ちゃんは水蒸気となって空に上り、雨となって地上に戻る。レジ袋が有料化されて半月。「もったいない」の意味や捨てられたプラスチックごみの行方に思いを巡らせ、川の赤ちゃんが笑顔になる循環社会をつくりたい。今月は河川愛護月間。(義)

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