再開したJ1リーグ戦で、マスク姿で戦況を見つめる鳥栖のベンチメンバー=4日、大分市の昭和電工ドーム大分

 新型コロナウイルスの影響で中断していたサッカー・J1が4日、約4カ月ぶりに再開した。アウェーで九州ダービーに臨んだサガン鳥栖は大分トリニータに0-2で敗れたが、ピッチで躍動する選手たちの姿が見る者の胸を熱くした。チームは今後、1週間に2試合の過密日程をこなしていく。県民が一つになって後押ししたい。

 「うれしい気持ちと生で観戦したい気持ちが半々」「泣いてしまいそうになった」-。無観客試合のため応援に行けず、リモート観戦したサポーターたちは、敗戦の悔しさをかみしめる一方、久々の試合に安堵した。スポーツが日常生活に溶け込み、勇気や気力を与えてくれていることを改めて実感した人も多かったことだろう。

 本来ならば、7月上旬の今頃は18チーム総当たりの2巡目に入り、間近に迫った東京五輪の開幕にも胸を膨らませていたはずである。それが新型コロナで一変した。五輪は延期となり、J1も真夏になってようやく再開にこぎ着けたというのが実情である。

 Jリーグは再開に向け、70ページにも及ぶ感染防止のガイドラインを示している。入場時の握手などは行わず、試合中の水分補給は自分専用のボトルか、飲みきりサイズを使う。得点後に抱き合うのも控えるよう指示している。各チームは試合の雰囲気づくりのため、事前に録音した応援の声を流し、客席にサポーターの写真を貼ったボードを並べるなど工夫している。

 鳥栖はJ1参戦9年目だが、今季は緊急事態のシーズンともいえる。新型コロナとの闘いに加え、4月の決算発表では経営の厳しさが浮き彫りになった。債務超過は増資で回避できているが、新スポンサーの獲得など急務である。

 プロスポーツが地域振興に果たしている役割を考慮し、佐賀県はコロナ禍への救済策としてチームに1億円の支援を決め、ホームタウンの鳥栖市も独自の支援策を打ち出した。経営改善は簡単でないとしても、地域を挙げて応援していくというメッセージであり、大きな励ましになったはずだ。

 4日の試合は若手中心の起用だった。実績不足の選手が多いのは否めないが、経験を積むことで着実に成長できるだろう。2年続けてJ2降格のピンチからチームを救った金明輝キンミョンヒ監督の采配に期待したい。今季は過密日程への対応で1試合5人まで交代が認められており、試合の前半からアグレッシブな展開を望みたい。

 東京などを中心に新型コロナの感染者が再び増えているが、Jリーグは10日から観客を段階的に入れ始める方針で、サポーターとしては「このまま無事に進んで」との思いだろう。紆余曲折うよきょくせつも予想されるが、今は感染対策を徹底しながら一歩ずつ前に進むしかない。(杉原孝幸)

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