「アンチエイジング」は「抗加齢医学」や「抗老化医学」と訳されます。日本では美容系を中心に広まり、若いころのままの状態を保つためにさまざまなな手を施すこと、というようなイメージのある言葉です。しかし本来、アンチエイジングとは、その年齢に応じた健康的な体や生活を保つ内科的な予防医学のことでもあり、いわゆる生活習慣病予防につながる言葉でもあるのです。

 さて、おしっこの悩みを持つ人は年齢が上がるにつれて増えていきます。前立腺肥大症、過活動ぼうこう、尿もれ、頻尿など、人によりさまざまな悩みがありますが、実はいずれも生活習慣病との関連があることがわかっています。また、単に加齢が原因で増える症状もありますので、おしっこの悩みを解決していくことは、まさにアンチエイジングと言えるのかもしれません。

 例えば夜間頻尿を改善させるためには、いくつかの治療薬を使うとともに、高血圧や糖尿病、いびきのコントロールをしたり、適度な運動を行ったり、足の筋肉を鍛えたりすることが有効で、まさに生活習慣病予防を意識した行動療法が不可欠なのです。

 多様な病気や悩みに対して、テレビ、雑誌、新聞広告などで「〇〇はこれで手軽に治せる!」とうたうものが後を絶ちませんが、残念ながら私たちは、今のところ不老不死の薬を手に入れてはいません。今ある薬の力は限定的ではありますが、上手に利用し、また食習慣や運動習慣を見直していくことで、おしっことの付き合いをより楽にすることができます。これがまさに泌尿器科的アンチエイジングなのです。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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