尹晶煥監督の契約解除のニュースを知り、駆け付けた多くのサポーター=鳥栖市の北部グラウンド

 「戦術や選手補強などに関して、監督と確執があったということは一切ない」。8日、サガン鳥栖の尹晶煥(ユンジョンファン)前監督(41)の契約解除を発表した永井隆幸強化部長(42)は「双方の合意」を強調した。しかし、J1首位を走るシーズン途中で事実上の解任に至った理由については「お互いの将来を話し合った結果」と繰り返した。

 突然の契約解除をめぐって、「来季の契約交渉の決裂」や「韓国代表スタッフへの就任」など、さまざまな臆測が飛び交った。しかし、永井部長は会見で「選手補強や来季以降の話は積み重ねてきたが、そこに隔たりはなかった。韓国からのオファーも聞いていない」と否定。「タイトル獲得など目標は同じだったし、決別ではない」とした。

 尹前監督に対し「常勝チームのベースを作り上げた功労者」とたたえながらも、「(チームを)まとめきれなかったわけではないが、より強固にしたかった」と説明した。

 今後のチーム作りについては「これまでやってきたことを続ければ、タイトル獲得に結びつく」と、吉田恵新監督の下でもプレースタイルは変わらないと強調。一方で「(監督候補として)リストアップしている方との交渉も継続的に行っていく」とも話した。

 不透明な“解任劇”に、サポーターの間では、クラブ側への不信感が広がっている。記者団からは「なぜシーズン終了まで指揮を執らせなかったのか」といった質問が矢継ぎ早に飛んだが、最後まで明確な答えはなかった。

●なぜこの時期?/さみしい 選手、サポーター

 「なぜ今」-。サガン鳥栖の尹晶煥(ユンジョンファン)前監督(41)の契約解除が発表された8日、サポーターに激震が走った。J1首位に再浮上したタイミングで突然の指揮官交代。クラブ側は「監督との確執はなかった。お互いの将来を考えた結果」と歯切れの悪い説明に終始し、困惑だけが広がった。

 敵地でのサンフレッチェ広島戦を9日に控えた選手たちはこの日、鳥栖市の北部グラウンドで普段通り全体練習に汗を流した。

 すでに選手・スタッフたちには7日朝、尹前監督の契約解除が知らされていた。「なぜこの時期なんだ」と動揺の声は上がったものの、その後のミーティングで自分たちがどうしていくべきかを確認したという。

 監督の契約解除のニュースを知り、練習会場には100人以上のサポーターが駆け付けた。高嵜理貴GKコーチ(44)は「いろいろあるが、明るく盛り上げてくれたらうれしい」と声を掛けた。DF安田理大選手(27)は「広島戦に向けてしっかり準備して尽くす。勝利を目指して集中するだけ」と前だけを見据えた。

 ただ、尹監督と同じ韓国出身のMF金民友(キムミヌ)選手(24)とDF金敏〓(キムミンヒョク)選手(22)はうつむき加減にクラブハウスを後にし、衝撃の大きさを物語っていた。

 一方、サポーターにはやりきれなさも。「成績不振の解任なら分かる。チームづくりで考え方に違いがあったとしても、経営側が譲歩すべきだった」。応援を始めて8年目という鳥栖市内の男性(65)は不満げ。

 尹前監督が選手と通った鳥栖市内の韓国料理店「百済」の安淳花さん(45)は「尹さんはサッカーにだけ走り続けてきた。行き先を決めてから辞めるような人じゃない。この前来たときも、そんなそぶりは全然なかったのに」と驚きを隠せなかった。

 母親と一緒に練習会場まで駆けつけた江島七海さん(12)は「選手と同じように練習する尹さんが好きだった。さみしいです」と、うつむいた。

※〓は火ヘンに赫

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